戻る


平成24年度
 

● 仲間と共に図工指導研修を支部で立ち上げよう!



長野県美術教育研究会 会長 青木 正治  

 「この秋は 雨か嵐か知らねども 今日のつとめに 田草取るなり」 これは、先輩から教えていただいた二宮尊徳翁の歌です。課題山積の図画工作・美術教育ですが、信念を持って、ねらいを定めて、今日やるべきことを淡々と推進していきたいと考えます。今年度も引き続き会長を務めさせていただきます。宜しくお願いいたします。
 さて、昨年度1学期に、各支部代議員の先生方にお願いして「図工指導アンケート」を実施し、集計してみました。調査目的は、本会会員でない先生方が日々の図工授業指導について、どのような感想と具体的な指導計画を持っているのかを知ることにより、多くの先生方への支援を決めだして活動の柱に据えることにありました。このことは、本会の活動目的が「図工・美術教育の振興を図る」とあることからすれば当然のことです。以前から赴任校で同僚の先生方と話す中で、図工授業指導について研修の必要を感じていました。今回のアンケートからも同様のことを感じて、今年度から活動の柱に据えたいと考えます。そのアンケートの会員でない先生方の声をお伝えします。「児童の作品をより良くするために、どのような指導や支援をしたら効果的なのかわからず、難しさを感じています。私自身が具体的な手法など、知識が足りないからだと思います。(20代4年担任)」「下書きを丁寧にしても、着彩がうまくいかない子や、こちらがもっとこうすれば良くなりそうだと思っても、『これでいいから、早く終わりにしたい』といってやめてしまう。いろいろな材料や描き方の手法を伝えられてないから(50代、4年担任)」、「作品に取り掛かる際の導入時、児童に作品へのより明確なイメージが持たせられていない。作り始めにイメージが欠けているため、後になって軌道修正するのが難しい場合が多々ある。指導者の教材研究不足。また実際に作品を作るといった経験の不足が原因です。(20代5年担任)」
 これらと同じような声が多数寄せられました。 私達は現状を直視しながら図工美術指導に役立つ支援を実施しなければならないと考えます。すでに支部によっては、年に5〜6回郡内の教師、美術部の生徒、保護者等も参加したワークショップを開催したり、図工指導事例集(カラー刷り)を作り上げて全校に配布して役立ててもらっている諏訪支部や、今年で12回を数える「ながのキッズ造形フェスタ」のように、子どもや保護者を対象とした大型造形体験企画(1200名前後の参加者)を実施している長野支部の活動もあります。したがって「できることから始めよう!」を合言葉に隣接支部との共同開催等も考えながら、新たに加える負担を考えたならば、今までの活動の一部を削ってみることも考えながら、子ども達に帰る図工指導支援企画を立ち上げていただくことをお願いするしだいです。
 このような活動の積み重ねは必ず支持を得られると同時に、県美研会員でない先生方にとっては、本会が身近に感じてもらえることになると確信するものです。皆で知恵と力を集め、第一歩を踏み出していこうではありませんか。
 最後に、今年度は全県研究テーマを掲げて活動する2年目となります。全県研究テーマを広めることを続けることが必要です。「ひびき合う感性 『私っていいな!』 楽しく“子どもアート”」を意識した実践を広めましょう。


平成24年9月20日発行 長野県美術教育研究会会報 第96号より



平成23年度
 

● 仲間と共に図工好き、美術大好きな子ども達を増やそう!



長野県美術教育研究会 会長 青木 正治  

 新年度が始まり、会員の皆様方には心も新たに授業に取り組まれていることと存じます。
 4月23日の代議員会において丸山陸雄会長の退任の後を引き継ぎ、新会長に推薦、承認されました青木正治です、宜しくお願い致します。
 会長として私がやるべきことは主に2つあると考えています。一つには、長野県美術教育研究会を充実させ図工・美術の授業がすきな子どもたちを増やすこと。もう一つは、県下の図工・美術教育に携わっている先生方の授業力を向上させることです。このことのために努力したいと考えます。
 本会では新たに昨年度1年間かけて、全県継続研究テーマを決めました。テーマおよびその解説と設定理由は、 こちら をお読み下さい。私は、義務教育における図工・美術教育によって育つ学力は、他教科で養われる学力とともに全人的な人間形成のために大切なものと確信しております。したがって私達は、図工美術の授業を通して確実な学力の育ちを実現しなければなりません。そのための授業力の向上をめざすことが大切であります。本会は図工・美術の同好の有志による研究団体です。同じ願いをもって自己向上を願い、その実現をもって子ども達の育ちを図る教師の集まりです。一人ではできない幅のある見方、考え方を身につけたり、一人ではできない授業力(教材研究や指導方法)の向上を願い、皆の力を持って実現する研究組織です。多くの仲間の参集を改めて願うところです。
 さて、会報をお読みの方々、本懐は支部活動を基盤にして成り立っていることはご承知のことと思います。ご自分の所属しておられる支部活動は、自己の向上にどのように役立っているでしょうか。また、その活動は楽しいものでしょうか。そして何よりも支部活動が児童生徒の「図工好き、美術好き」に繋がっているでしょうか。私は、支部単位の活動が充実すれば本会の活動も充実すると思っています。会員の自主参加により、会員の手で創っているのが同好会活動です。この機会に支部活動の充実のためにお一人お一人の自覚ある参加をお願いするところであります。
 最後に、先に記した「図工・美術の授業が好きな子ども達を増やす」ために会員の方々には、小学校においては、自校の図工授業をしているすべての仲間の先生方に、今以上に図工授業の指導方法を教えていただきたい。また中学校においては、同教科会の情報交換を今以上に活発にしていただきたいと思います。この長野県美術教育研究会に参加して得たものを自校の仲間の先生方に広めていただくことを切にお願いするしだいです。そして支部長さんを中心に心を繋げて、知恵と発想を豊かにして楽しい活動を実現させて下さい。そのために本年度は、支部長会を開き、情報・意見交換をしたいと考えています。宜しくお願いいたします。
 最後に、11月18日(金)に全県継続テーマ「ひびきあう感性 『私っていいな!』 楽しく子どもアート」を持って、塩筑・基礎大会を開催します。図工・美術大好きな子ども達を増やすために参加をお願いし、挨拶と致します。

平成23年9月14日発行 長野県美術教育研究会会報 第93号より




平成21年度

● つなげ、むすびあい、ひろがりあう長野県美術教育を 


長野県美術教育研究会 会長 丸山 陸雄 

 「つなげる ひろがる 私の想い」本年度の長野県美術教育研究会更埴大会で目指しているこのテーマは、育てたい子どもの姿であると共に本県の美術教育を振興し高めようと願っている私たち教師の求めていく方向を示しているテーマでもあると感じています。
 長野県美術教育研究会は、創立以来美術教育の使命とあり方を追求してきました。昭和21年の発足から本年まで60余年の歩みは、美術教育の理念を確立し、美術教育を正しい軌道に乗せようと奮闘してきた歴史でもあると思います。
 図画工作・美術の教育は、どのような力を育てるのかという教科の本質が理解されずに、他教科に比して軽視される傾向が多くありました。そのような中で美術教育の使命を背負い高い見識と情熱をもった諸先輩が、美術教育は人間としての生き方を問う教科であることを明確に打ち出し、同士の力を結集し図画工作・美術教育の理念を確かにし実践力を磨き続けてきたのです。

子どもにとっての本年度テーマ
 
 昨年度下伊那大会の「感性の海 こころみつめ こころ伝え合う」をテーマとした研究からは、子どもがもつ豊かな感性に子ども自らが気づき表現できるようにするあり方や他者の見方や感じ方を認め合うことで自己肯定感を高めていくことの大切なことが示唆されました。私たちが求めている美術教育による人間教育は、造形的な創造活動の能力を子ども自身が主体的に伸ばし、豊かな情操を養うことですから、自分らしい感じ方や見方や表し方、人と自分とのよさの違い、友だち同士のよさの違いに積極的に触れ気づけるようにしていくことが求められます。
 本年度テーマの「つなげる」ことによって「ひろがる」ものは、「自分らしさ」の自覚であり、「感性を働かせる」力であると思います。友だちや地域の人々など社会とのかかわりをいかにすることが自分らしさを高めることになるか。「交流」という視点を加えて、実感の持てる自らの育ちが感じ取れるようにしたいと思います。

美術教育研究会にとってのテーマの意味
 「ながのアートプロジェクト2009」”学校を美術館にしよう”が本年度もNプロジェクト実行委員会によって計画されています。東北信の3つの小中学校が学校を美術館として、小中学生が主役となる創造活動を展開するということです。学校を美術館として創造し地域に開放する活動は、「つなげる」「ひろがる」具体的実践であります。このような校種間の連携や活動の連携を大切にした先駆的実践は美術教育の振興に大きく貢献するであろうと思います。
 本会は、16支部の連合体で成立しており大会は支部を単位として行われてきました。しかし、支部会員の人数が減少し、3人・4人の支部が生じ支部単独の大会運営は不可能となりました。打開策として、22年度大会は、上水内・長野の連合、23年度大会は木曽・塩筑の連合で実施いたします。研究推進委員会の先生方には、これまで以上に大会支部の研究に具体的にかかわり研究の支援をお願いしたいと思います。これこそ「つながり・ひろがり」であります。
 中学校の生徒数の減少や持ち時間数の減少により、美術教師が1校に一人配置されない学校が増加し、講師が2〜3校兼務することで成立させている学校や、正規の美術の教師が大変少ない地域もあります。教師数の少ない教科であるだけに、指導力を高めるための研修の機会が貴重です。
 各支部では、本年度は作品研究会や、実技講習会など指導力を高める研修会を積極的に計画しているところがあります。また、昨年度創設しました、「教育実践賞」は、指導過程を学び合うためにも大変有意義な企画です。ホームページ掲載等を利用して多くの会員が学び合う場となることを願っております。
 このように、会員同士がつながり、むすびあうことで美術教育の実践がひろがっていくことを期待しています。
 戦後の教育改革の中で、教科性の確立を図らなければならない危機意識が研究会設立と教師のつながりを深めました。そのような気概と情熱が込められている本研究会であることを心において、取り組んでいきたいと思います。

平成21年7月30日発行 長野県美術教育研究会会報 第87号より




平成20年度

● 教師自らが感性を磨き、子どもの「感性の海」を育てよう 


美術教育研究会 会長 丸山 陸雄 

 本会の発展のために大変なご尽力をされ大きな成果を残されました寺島頼利先生から会長を引き継がさせていただくことになりました。伝統のある長野県美術教育の発展のために微力ではありますが、全力を注いでまいりたいと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。前会長先生が築かれた中央や他府県との太いパイプや美術館との連携等を大事に、よりよい実践を積み重ねていきたいと思います。
 本年度も意欲的に美術教育を学ぼうとする先生が入会されました。若い先生が、図工美術教育の実践者として力をつけられるよう、各支部では授業研究会を設定したり表現を通して子どもの姿をみつめ合う作品審査会を行ったりし、研究を進めていただきたいと願っています。

美術教育のめざすもの
 私たち美術教育研究会では、図工美術教育で、どんな子どもを育てるかという根本に立ち返って考えることを常に大事にしてきました。作品を作ることが目的ではなく、作品をつくる過程で育つ力を目的にしてきたのです。子どもが自分で色や形を選んで決めることで自分の見方・感じ方・表し方の力が育ちます。友だちの表現を見合うことで、自分らしさをいっそう感じとるとともに友だちのその人らしさを感じ取ることができます。自分も友だちもそれぞれが違う表現や感じ方のよさを持っていることを感じあうことができるとき、子どもの生きる力や情操は豊かに育っていくのです。
 人間教育の根幹を担う教科であるという気持ちをもって取り組んできたことが、歴代の大会テーマや取り組みからもとらえることができます。
 平成7年度の全造連下伊那大会では「いのちにふれる造形教育〜つくるよろこび 自分らしさの表現を求めて〜」がテーマでした。子どものいのちと題材のいのちの接点においていのちにふれる出会いをし、表現の思いを醸成深化し、自分らしさの自覚や地域にいきる素晴らしさの自覚・互いの生き方への共感にまで高めました。
 平成18年度全造連長野大会では「私っていいな!! "いろ・かたち" 生きあい 学びあい」、昨年度安曇野大会では「私っていいな!! ちょっといいじゃん、この色、この形」をテーマとし、造形活動を通してその子の自己肯定感を育てることをめざして友と学び深め合う学習を求めました。いずれも長野県美術教育研究会が教科の本質を見極めた授業を追及してきたことを示しています。

「感性の海」をテーマとした願い
 本年度は、下伊那大会で「感性の海 こころみつめこころ伝えあう」をテーマとして取り組みます
 子どもは、生まれながらにして海のような豊かな感性を持っています。子どもが自分の感じ表したことを見つめ、友と伝えあい、共感し合うことでいっそう豊かな感性を心に満たせるようにしたい。こころみつめこころ伝えあう図工美術教育を通して、子どもが生きる勇気と自信が持てるようにしたいと願っています。
 「感性の海」の言葉は、下伊那の鋤柄郁夫先生の著書からいただきました。先生は「たけのこよぼくもギプスがとれるんだ」という俳句を小学校2年生がつくったときのことを紹介されています。苦難の闘病成果ルから立ち直りようやく学校へ通うことができるようになった洋平君を送っていったとき、腰を下ろして足すんだ目の前に竹の子が芽を出していました。鋤柄先生は、「洋平君、竹の子がギプスをぬぎはじめたよ!」と声をかけました。そして一心に指を折りながら口をついて出た言葉がこの俳句だったのです。子どもの豊かな感性を引き出すのは、教師のもつ感性です。子どもの美的造形的感性を育てるには、教師が感性を磨くことです。自らが教材研究を徹底し制作活動を体験し、子どもをみる力をつけることが重要なことだと思います。
 美術教育に携わる私たち教師のありようを見直しながら、美術教育を考えていきたいというねがいをこめたテーマでもあるのです。

美術教育実践賞を新設
 本年度代議員会で県児童生徒美術展覧会に造形遊びを評価する部門を設けたいという提案がありました。
 従来の企画の展覧会が創造活動の発展を規制してしまっているという問題を打開するために画期的な改革であります。子どもや教師のアイディアある造形活動の姿を応募していただき、県下に広げていただきたいと思います。
 終わりに当たり、会員はもとより日ごろからご賛同ご協力をいただいている関係諸機関・団体の皆様方のご支援をよろしくお願い申し上げます。

平成20年7月30日発行 長野県美術教育研究会会報 第84号より




平成19年度

● 今、こころざしを高く共に生きよう 

「61年前の同好会創成期が、今と妙に似ている・・・」

美術教育研究会 会長 寺島 頼利 


 本年61年目を迎えた長野県美術教育研究会の目的は美術教育の研究と振興にあります。この目的実現に向けて県大会並びにこの支援にあたる研究推進委員会と、県児童生徒美術展の企画推進、美術教育関係諸機関・団体との連携による研修を主としております。

6割の組織率が意味するもの
 ここ数年の本会の会員数は370名強で推移しています。これは長野県下の小学校・中学校・特別支援学校等の学校総数を母集団としてみますと約6割強の組織率です。この数字は驚くべきものです。それは20年前から同様に6割強で推移しているということです。以前は学校数も会員数に準じて多かったので昔を知るものにとっては会員数の減少のみに目が向く数字のマジックです。6割を保つ組織率こそ、各支部の先生方による「図工・美術教育を通した人間形成」への絶えることのない情熱と実践の反映であります。昨年の全国大会で発信した“どの学級でも子どもたちにとって意義ある図工・美術教育の実践”のもと、「わたしっていいな! 〜“いろ・かたち”生きあい・学びあい〜」の具現に向けて、実践の深まりを願うものであります。

県大会を契機に日常の授業に生かしたい
 さて、第61回目の本年は安曇野大会11月2日(金)です。昨年度の成果と課題を受け継いで、大会テーマ「わたしっていいな!! 〜ちょっといいじゃん、この色、この形」のもとに着々と実践研究を推進していることに感謝申し上げます。この安曇野大会が求める概要は別記の大会案内から周知のほどよろしくお願います。
 さて、本会研究推進委員会は、昨年度の全国大会まで研究推進の要職を務めた小池一秀委員長(昭和小)が勇退し、新たに丸山陸雄委員長(下條小)を迎えました。研究推進委員会の役割を十分発揮させ本会の発展に寄与してきた小池一秀先生に改めて御礼申し上げます。また、丸山陸雄委員長のもと全県から推薦された研究委員の皆さんには、切れ目なく大会地域に応えた研究支援を進めていただいております。それは幼・小・中の事前研究授業への支援と研究推進委員会(豊科南小)6/3(日)を実施し、三郷小学校事前研究授業7/20(金)では、奥村高明文科省調査官の指導助言も含め、子どもたちの色や形を通した学びに根ざした具体的で確かな手ごたえのある研究支援であります。

本会61年目の今を見つめたい
 昭和58年5月刊行「長野県美術教育研究会沿革誌」は美術教育を志す人の珠玉の文献です。本書には昭和22年11月1日の「第一回大会」前後から克明に記され、終戦の時を生きる諸先輩の図画工作科へのねがいが鮮明にあります。思えば平成19年の教育関係三法改正の今と、昭和22年3月の教育基本法、学校教育法、同施行規則が公布された時と重なる本会の目的の必然性を痛感いたします。当時、図画工作科(中学も同教科名)の教育的な意義・教科の本質を実践研究する有志による本会の立ち上げの状況が記されています。紙面の関係で内容に触れられませんが、発足61年目の今、私たちが求める思いと重なる先見性と普遍性がそこにあるということです。それは、子どもたちの色や形を通した学びに根ざす研究推進委員会発足(平成6年)から13年目の本研究会を貫く精神であります。
 今、再び教育を取り巻く激動のこの期に、私たちの研究と修養を内から発信する本研究会で学びあいたいとねがうところであります。

「わたしっていいな!」の連携を展開しよう
 結びとなりましたが昨年度大会報告書のまとめに、橋本光明先生が“「私」と「学びあい」のいきあう大会を実現”と記しております。私という一人称のテーマの意味を再確認してくださいました。本会は発足時から小・中・高・大の協同研究と美術関係諸機関との連携から、美術教育による子どもの育ちを求めております。その意味で現在、信州大学、幼稚園・保育園、信濃美術館等との協同研究を共に推進していく所存です。 つきましては、会員はもとより日頃からご賛同いただいている関係諸機関・団体等の皆様方のご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。

平成19年8月17日発行 長野県美術教育研究会会報 第81号より




平成18年度

● 今、節目を共に生きたい

「わたしっていいな!〜“いろ・かたち” 生きあい・学びあい〜」

美術教育研究会 会長 寺島 頼利 

 

 本年60年目を迎える長野県美術教育研究会の目的は美術教育の研究と振興にあります。

●求める心の生きあい・学びあいの場でありたい

 私ごとで恐縮ですが20代の頃、研究会に色彩指導のレポートを持って参加しました。指導者が本会の初代会長の飛矢崎和彦先生で、「色だけ取り出しても絵の指導にはなかなか反映しないものです。色と形の日々気合いを見つめてほしい」とご教示を受け、微視的な指導にとらわれていた自分に気づかせていただいた。その後も、厳しい語り口の中に心のこもったご指導をいただき得難い時を過ごせたことに感謝しております。

  さて、毎年県下各地で輪番に開催される県大会は、児童・生徒の図工・美術教育での学びの今を見つめる研究と振興の場です。昨年からさかのぼりますと長野・佐久・伊那・木曽・上高井・上小・諏訪・北安曇・下高井・更埴・下伊那(全国・関東ブロ)・松本…大会と、特色と研究の連続性のある内容が彷彿されます。それはその地に育つお子さんの授業での表情や、大会を引き受けてくださった熱意あふれる先生方とともに返ってきます。本大会が60年間も継続できていることに改めて関係各位のおかげと感謝申し上げます。

 

●研究テーマの中身を子どもたちが体現している

 本研究会は11年前の平成7年にも全国・関ブロ・県大会を下伊那で開催しました。大会テーマ「いのちふれる造形活動〜つくるよろこび自分らしさの表現を求めて〜」のもとに、飯田市と下伊那の町村の18校園で授業公開研究をする地域に根ざした大会でした。後年に授業公開研究会のひとつである和田小学校長として小山清先生(現長野大会運営委員長)が着任した折に、庁務員さんが大会の素晴らしさをこう語ったというのです。学校のすぐ裏山に研究授業の時に作った造形遊びの場があったが、もう古くなって危ないし、何年も経って子どもたちも大きくなって関心もなくなったようだからと夏休みに焼却して片付けたら、休み明けに子どもたちがどうして燃やしたのかと泣いて訴えたと。偶然、私も同校の研究授業に参加していましたので、この話を聞いて「テーマを具現した研究だった」と改めて感心しました。また、全国から参加した先生方からも当日朝の初雪と共に、下伊那の各校園での鮮烈な印象として今も話される機会に接します。

 

● 研究推進委員会の取り組みに学びたい

  一方、下伊那の前年の松本大会を機に研究推進委員会が創設されました。設立のねがいは、「全国大会を一支部だけでなく全県で応援してきたい。みんなで学び合いたい。」というものです。この企画は年一回の会委員の集まりの大会から、各支部からの委員が参集し事例研究や事前授業研究・考察・検証など研究の深化に貢献しています。この発足以来12年間の委員会の道のりは本研究会の活性化の源でもあります。

 そして、本年の全国大会長野大会では大会テーマ「わたしっていいな!〜“いろ・かたち”生きあい・学びあい〜」のもと、私たちは、児童・生徒の今を見つめて、図工・美術教育の明日をもとめるものです。その意味で、昨年度県大会としては初めての全国大会の構想に基づくプレ大会を実施しました。その結果、授業研究においても企画運営面においても具体的な成果と課題が明確となり研究の焦点化が一層進んできました。

 

● 連携のキーワードのもと生きあい・学びあいたい

  本年11月1日・2日・3日の全国大会はマクロ的には、文化芸術振興基本法(H13,12,7)のねがいと意を同じくとは言いがたい新たな教育施策や、同好会全国組織として新たに日本美術教育連盟との協同など、戦後のエポックとなる教育動向の渦中にあります。その中で幼保・小・中・障・高・大の各校種間の協同研究や、美術館など美術関係機関との連携は、美術教育による子どもの育ちを中心軸とした今大会の特色です。

  また、橋本光明先生(信州大学)のご努力で全国の美術教育にかかわる大学の先生方が授業研究会とテーマ別分科会に直接参加することも画期的な連携であります。つきましては、会員はもとより日頃からご協力いただいている関係緒機関・団体等の皆様方のご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。


 
平成18年8月27日発行 長野県美研会報 第78号より