福島県と新潟県の類似性

 上杉の時代から会津藩の預かり地や飛び地が新潟県内に多くあることもあり、以前から福島県と新潟県は関わりが深いと認識していた。賊軍になったために、県名と県庁所在地名が同じことも共通点だ。(会津や長岡が県都にならなかった。)

現在の県の面積や人口も比較的近く、また可住地面積も北海道に次いで新潟県全国2位と福島県3位とほぼ等しい。食糧自給率も新潟が約100%、福島が約90%と、比較的近い。 産業構造に関しては野呂氏の解説が参考になる。

さらに、立地でも共通点がある。関東地方に隣接することで、首都圏で消費される電気を生産する世界的規模の原発が集積している点だ。このことにより3.11の事故で福島県を襲った悲劇は他人ごとではない。全く同じことが、中越沖地震で柏崎原発に起きていても不思議ではなかったからだ。

原発事故の影響は、今後も環境問題や農作物など食糧問題として続くであろう。その自然環境の中でどれくらいの人間が居住・生活し社会活動を行うことが適当だろうかという点を、CO2固定容量、クーリング容量、生活容量、水資源容量、木材資源容量、という指標をもとに見積もる「環境容量」という見方がある。

原発事故以前の環境容量は福島県と新潟県で大きな差はなかったが、原発事故により劇的に変化したにちがいない。これも全く逆の結果になっていることが、十分あり得たわけである。

○大西文秀, 「環境容量からみた日本の未来可能性」 (大阪公立大学共同出版会 2011)
○野呂拓生, 「東北の産業構造を視覚的に理解する(その2)」,東北開発研究 2010. 4, p61-76.

(2011/09/10)

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