簡易物理実験(身近な物理教育素材、準備中) 

ここでは、科目の物理学実験のテーマのように大げさではなく、自宅や机の上でできるものや、
町を山を歩いている時出くわすような「ものやこと」を、物理を学ぶ材料として取り上げたい。
精密測定機器や高価で便利な実験器具はなるべく避け、タダのもの、拾えるもの、100円ショップで
入手可能なもの、公共のもの、景色・風景を利用しながら学べることが目的である。
(ガリレオ工房の本もこの精神のように見える。)大雑把に、直感で調べて感じてすぐわかるもの
ごとを目指そう。 要は、誰でもやろうと思えばズボラで、大雑把でも直ぐできるものから学ぼうと
いうわけだ。 

我々は否が応でも自然現象に囲まれて、自然現象を利用して生きている。 そういう意味では
簡易物理実験の教材だらけだ。 たとえば、身の回りの様々な製品が故障したときなど直ぐに
新しいものに買い換えるのではなくて、分解してみることでもかなり多くのことを学べる。 
最先端のものを求めない事は、合理的で文化的なものの見方が養える。

既に、教育関連のHPや企業のHPで紹介されているものは、そのURLを記しておく。これもまた
現代風な、簡易物理実験になるかもしれない。 一部は渡邊コンピュータ研究所の協力による。
下記の文献に無く面白そうなものがあったらボチボチupしていく。

 以下に項目を挙げていく。カッコ内は大よその関連分野である。(ほとんど文献にも載っている。)

教材(かなり以前にupしてあるもの)
教材2
教材3(振り子)

●地磁気の測定(電磁気学)
●夕日と青空(電磁気学)

●ブランコの振動とサンダル飛ばし(力学)
●カメラの手ブレ防止(力学)
●肥後の竹とんぼ(力学)

●角田山のケーブル(波・振動)

●炭(黒体)による環境効果(熱統計力学)


日常生活の中の自然現象や社会現象をよく観察することが、科学の始まりといえる。ニュートンは
「リンゴが落ちるのは何故か」と考えた。 「力とは何か」「熱とは何か」「波とは何か」 など、一見、
誰にでも当たり前の様な物事を考察するものが科学である。 以前、物理学は自然哲学と呼ばれていた
ことを考えると、「生とはなにか」「存在とはなにか」「自分とは何か」などの根源を問う哲学に近いもので
もある。  もちろん、物理的な事象にこだわるものではない。草むらのバッタやカマキリ、木や葉につくセミの
ぬけがらや畑のへびのぬけがらを、観察することで、気候の変動や環境の変化を調べる事も出来る。


えっ、こんなことに物理が役立つのかと思うもの
●アメンボの移動の流体力学(Hu et al, Nature 424, 663(2003))
●テッポウエビの発射音と音ルミネッセンス (Versluis et al, Science 289,2114(2000);
Lohse et al, Nature 413,477(2001))

文献
○Robert Ehrlich, 「ひとりでに回る生卵 実験で楽しむ物理 1」, 丸善(1995)
○Robert Ehrlich, 「歌うワイングラス 実験で楽しむ物理 2」, 丸善(1995)
○近角 聡信 , 「日常の物理事典」, 東京堂出版(1994)
○近角 聡信 , 「続 日常の物理事典」, 東京堂出版(2000)
○江沢 洋 , 東京物理サークル, 「物理なぜなぜ事典〈1〉力学から相対論まで」, 日本評論社(2000)
○江沢 洋 , 東京物理サークル, 「物理なぜなぜ事典〈2〉場の理論から宇宙まで」, 日本評論社(2000)
○阿部龍蔵, 「物理を楽しもう」, 岩波書店
○戸田 盛和, 「おもちゃの科学1-5」, 日本評論社
○J.ウォーカー 「ハテ・なぜだろうの物理学」 培風館
○K. ギッブス(Keith Gibbs),The Resourceful Physics Teacher --600 ideas for creative teaching
(IOP Publishing Ltd. 1999) [日本語訳 「ゆかいな物理実験」朝倉書店 (2000) ]
○池内 了 「考えてみれば不思議なこと」 晶文社 (2004)
○橋本 英文 「おもしろ力学」 コロナ社 (1993)
○滝川洋二・吉村利明 「ガリレオ工房の身近な道具で大実験」第1− 第4集(大月書店 2005)
○滝川 洋二 「ガリレオ工房のおもしろ実験クラブ 1-7」(ポプラ社 1998)
マーク・エイブラハムズ「イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手」
(阪急コミュニケーションズ 2004)
○小山慶太「漱石とあたたかな科学」(講談社 1998)
○後藤信行「自然界の万華鏡―‘癒し’の時代の物理学―」(科学研究費補助金研究報告書 2007)
○渡辺政隆「科学の種をまく」 科学 Vol. 77 No.6 p646-651(岩波書店 2007)