1、はじめに

この講義ノートは主に、新潟大学工学部の1年生を対象に13−14回の90分講義に
合わせて構成したものである。板書をし説明や学生への質問に時間を割きながら勧めるための
覚え書きという意味合いも強いので、テキストと異なりこのノートのみでは細かな記述が足りない
部分がある。 実際の講義では、資料をコピーして配布したり参考映像をビデオでみたり、
インターネットでweb上ににあるJavaのシミュレーションを見たりしながら進めることもある。

対象の学生は高等学校で物理と数学の基礎を履修してあることが前提だが、
この講義での必要な数学の基礎(ベクトル、線形代数、微分、積分、など)は自前で準備する。
復習という意味合いも込めて、進むペースはゆっくりで基本的なことが理解できれば十分で
あるとする。 

成績評価は、「中間テスト50点」「期末テスト60点」「出席10点」「問題の回答で加点」で
合計(120+alpha)点が満点で、60点以上を合格とする。100点以上になるものは100点とした。
合格者は約6割くらいであった。

一応このHPの「講義」にある「物理学の基礎1」が基になるので、そのシラバス、参考文献なども
参照してもらいたい。 高校の物理、数学の教科書は、随時読み返せるように手元に用意して
おくこと。 アンケートなどでは、学生本人の感じる高校教科書レベルの物理、数学の理解度は
「約60−70%」であった。 これは、大学入学試験の物理の問題作成や採点などから経験する
ものと大よそは一致するが、実際はもっと低い(50%位)であろう。 工学系は、理学系より
理解度が低くまた、看護系(看護士や理学療法士などになるコース)よりも平均学力は低い
というのがじつ実感であり、データもそれを示している。

2−3回講義を試験結果やアンケートの結果をみると、数学的な準備でかなり躓くようだ。これは
この講義を1年生の前期に設定したせいもある。入学生のレベルにより、前期に数学をある程度
受講した後、一年生の後期に行う方が適当かもしれない。

海外の教養課程用の教科書は分厚い(1000項を超えるものも珍しくない)が、具体例が豊富で
あらゆる分野が一冊に含まれるのでよりは割安かもしれない。 物理を専門とする学生にも、
専門的なレベルがそんなに高くないので、英語に慣れながら学んでいくのに丁度いい。

参考文献:
○物理数学による力学・波動, 晴山 雅寛, ムイスリ出版 (2002/07)
○考える力学, 兵頭 俊夫 (著), 学術図書出版社 (2001/03/25)
○理工系の基礎物理 力学, 原 康夫 (著), 学術図書出版社(1999/07)
○理工系のための力学, 成田 真二 (著), 学術図書出版社(2002/09)
○科学者と技術者のための物理学 (1a) 力学・波動,R・A・サーウェイ (著), 学術図書出版社 (1997/03)
○科学者と技術者のための物理学 (1b) 力学・波動,R・A・サーウェイ (著), 学術図書出版社 (1997/03)

その他 教養の一般物理学としての文献:
○科学者と技術者のための物理学 (2) 熱力学, R・A・サーウェイ (著), 学術図書出版社 (1998/03)
○科学者と技術者のための物理学 (3) 電磁気学, R・A・サーウェイ (著), 学術図書出版社 (1997/10)
○Physics for Scientists & Engineers,
Raymond A. Serway (著), Harcourt College Pub ; 4th 版 2 巻 (1995/09/22)
○University Physics : Revised 版, Harris Benson (著) ペーパーバック (1995/12), John Wiley & Sons Inc :
内容Partial table of contents:
Vectors.
One-Dimensional Kinematics.
Particle Dynamics II.
Work and Energy.
Linear Momentum.
Systems of Particles.
Angular Momentum and Statics.
Gravitation.
Solids and Fluids.
Oscillations.
Mechanical Waves.
Sound.
First Law of Thermodynamics.
Kinetic Theory.
Entropy and the Second Law of Thermodynamics.
Electrostatics.
The Electric Field.
Gauss's Law.
Electric Potential.
Current and Resistance.
The Magnetic Field.
Sources of the Magnetic Field.
Electromagnetic Induction.
Light: Reflection and Refraction.
Lenses and Optical Instruments.
Wave Optics I. Special Relativity.
Early Quantum Theory.
Nuclear Physics.
Appendices.
Answers to Odd-Numbered Exercises and Problems.
Index.

○ファインマン物理学 (1) 力学, ファインマン (著), 岩波書店 (1986/01)
○ファインマン物理学 (2) 光・熱・波動, ファインマン (著), 岩波書店 (1986/01)
○ファインマン物理学 (3) 電磁気学, ファインマン (著), 岩波書店 (1986/01)
○ファインマン物理学 (4) 電磁波と物性, ファインマン (著), 岩波書店 (1986/01)
○ファインマン物理学 (5) 量子力学, ファインマン (著), 岩波書店 (1986/01)