14年度教養科目『複雑系科学の諸相』(総合科目群の教養科目)
学期: 2期
定員: 100
担当教員: 大西耕二(理)ほか
対象学部等: 全学部
曜日、時限: 金曜5限
<科目の概要と目標>
複雑系科学は、自然科学、人文・社会科学を縦断する重要分野として、21世紀の飛躍的発展が期待される分野である。ニュートン以来の科学の伝統が単純性(simplicity)を追求してきたのに対し、1980年代に台頭したこの科学は、カオスやフラクタル現象などの非線形複雑現象に代表されるような多様な複雑現象に潜在する一般法則を、複雑性(complexity)のありのままの在り方の解析から発見、知識構築しようとするものであり、未発見の重要法則が数多く埋もれていると考えられる学際色豊かな分野である。本講義は、学内の異分野の研究者が、それぞれの立場から複雑系科学の課題について講ずるもので、文系・理系といった、現実世界には存在しない無根拠な人為的境界を気にしない学問であり、真理の構造の多様なあらわれ方に潜む、共通論理の構造に関心を集中する科学である。本講議では、複雑系のダイナミックスと、認知的構造の在り方にある程度のウェイトがあるが、その範疇にこだわってはおらず、広く真理の構造の在り方に関心を向け、様々な現象を横断して支配する法則を追求する。 この新しい科学の現状と課題に触れる機会を提供し、21世紀のこの科学をどのように発展させていくかを考えるための素材となることを期待するものである。 教養科目ではあるが、大学院生や関心ある学内外の人が単位と関係なく講義を聴いたり、質問等を含む議論に参加して下さることも、教室のスペースの許す限り歓迎するものである。
<授業計画>
おおよそ以下の順で講ずるが、かなりの変更等があり得る。
1〜2. 複雑系概観:物理学の立場から:カオス・フラクタル・複雑系入門 (山田・工学部)
1〜2. 一般認知システムと記号系の創成法則:(大西・理学部)
3〜4. 生成文法と意味の創成 (大石・人文; 本間・教育)
5〜7. ニューラルネットワーク (合田・工学部)
8. Self-Organization and Brain(中田力・脳研究所)
9. 大脳皮質聴覚野におけるニューラルネットワーク機構(渋木・脳研究所)
10-12. 複雑系の数学的構造(秋山・明石、理学部)
13. 複雑系としてのマルチエージェント指向計算 (沢村:工学部)
14. 細菌集団によるパターン形成とフラクタル(松山・医学部)
15 植物におけるイオンチャンネルによる情報伝達の制御機構(古市・農学部)
<成績評価の方法と基準>
出欠、レポート等により評価、採点して、60点以上を合格とする。
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