大学教員の「副専攻」
  大学における教員養成系の事情は詳しくなく、知人の話をたまに聞くくらいであるが、 大学の物理教育2001-3号の「理科教員養成の特集」などを読んで思ったことを無責任に書いてみる。 大学で物理を学んで高校の教員になった者が、化学や地学をまた時には数学を 担当することは当たり前にある。逆に、理科で採用されたら物理も化学も生物も担当できて 当たり前とも取れる。現に、私の取得した中学、高校の教員免許状にも教科は理科としか記されて いない。それならなおさら、高校でも中学と同じく、物理、化学、などの分類を止めて、 理科または自然科学としたらどうか。現在どの領域に属しているかとは無関係に、その自然科学の なかに必要最小限の中味を構成していくことはできないか。 そのためには、教員を目指す大学生も、たとえば、「物理と生物」のように「主専攻と副専攻」を決め、 どちらもほぼ対等なレベルまで学ぶべきであろう。 また、教員になった後、研修で副専攻(何科目でもよい)をさらに学んでいく制度が 必要である。(リストラ後の職業再教育と似ている。) そして、しっかり授業を行える副専攻科目を もつようになるべきである。 たとえ物理嫌いが増えても、生物を教える「物理が主専攻であった人」が魅力的なら、学生は物理にも興味 を抱くようになるに違いない。 また、これらのことは教員養成系の大学教員にも当てはまるのではないか。 教員養成課程の大学教員は最低2つ分野にまたがり、教育法や教科研究を行うようにしてはどうか。 物理を専門にしていたならば、物理と生物、物理と化学、物理と地理、などどれでも良い。 異なる分野を学ぶこと自体楽しいし、その面白さが教員志望の学生に伝わり、 直接物理を通さずとも物理の魅力を伝えていけると思う。 物理選択者が激減している今こそ、自分が専門として今まで研究してきた内容以外のものを、 学び習得する絶好のチャンスと見なしてはどうか。 教員養成系の理科はミニ理学部と呼ばれる要素があるならば、なおさらシステムが整っている ともいえる。それを利用して、より教育の中味を豊かにしていけるのではないかと思う。

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