本萱健康整体>>column |
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長いあいだ整体院をやっているといろいろな人が来院されます。 長年施術にあたり、特に印象特に残ったエピソードや、施術について、ご本人様の許可を頂いた上で、一部ご紹介させていただいております | |
■ ぎっくり腰の新郎 ■ 同時多発テロと整体 ■ 投げられないエース1 ■ 炊飯器におまかせ。のチーズケーキ?? ■ 不思議な電気治療器? |
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>>ぎっくり腰の新郎 | |
ある3連休の初日の朝8時自宅で突然、私の携帯電話が鳴った。 ナンバー表示は覚えのない番号が表示されている。これはもしかして何かの営業?と思いながら恐る恐る電話にでると、とても暗い男性の声で「あのう…整体の先生ですか?」と聞いてきた。 「そうですが…」と答えるものの頭の中では「新手の電話営業、恐るべし職業まで調べたかー」などと思っていると相手は「私、Aさんから聞いて電話したものですが、本日整体をしていただきたいのですが、予約はとれますか?」と続けた。 「知人のAさんからの紹介で連絡してきた施術希望の方か…」とホッとしたが「でもなぜ、こんなに早い時間に?しかも携帯に…。」と一瞬に様々な事がよぎる。 相手は続けて「腰がとても痛くてすぐに見ていただきたいのですが。」と辛そうな声。 「時間は取れると思いますが広尾までこれますか?」「はい、大丈夫です。」 「営業は12時からですが、12時以降は既に予約が入っていますので、今からですと10時30分には私は着きますので、時間外でよろしければ…」と伝え電話を切った。 急いで家を出て10時30分前に院に着くと店の前に一組のカップルが既に待っている。 先程の電話の方だ。なんと明後日の日曜日に二人は結婚式を挙げる予定になっているそうだ。電話をかけてきた腰痛本人は新郎で、一緒に付き添って来たのは新婦となる方。 「これ治りますか?」と二人で何度も不安そうに聞いてきます。 状況は腰が痛くてまともに歩けない、ここまで来るのも彼女の肩につかまってようやくたどり着いた様子。 「病院はどこも休みで…。このままだと結婚式も披露宴もできません。」と二人は必死で訴える。 「状況が状況だけになんとかしてあげたいのですが、整体は医療行為でも治療行為でもありません。痛みがとれるのは身体の調整を行った結果で、痛みに対しての行為ではありません。また、一度の施術で楽になるかは身体の状態によっても違いますので何とも言えません。」と気の毒に思いながらも、いつも通りの説明を終え施術に入った。 腰を中心にほぐしと調整を行い約40分の施術が終わると新郎さんの顔から苦痛の表情は消え、みるみる楽になった様子。 歩いてみても先程とは全く様子が違い、スイスイと足取りも大分軽そうだ。 ふと見ると、彼女の目は赤くうるんでいる。 「これでなんとか大丈夫だねー」と二人でホッとした様子で言葉を掛け合う。 二人が整体院を出て、数分後にAさんから電話が入り「新郎さんの様子はどう?」と聞いてきた。「大分良くなって丁度今、帰ったところだよ。」 「良かった!実はあの二人長いこと親に結婚を反対されようやく説得して、明後日結婚する事になったんだー…」「そうだったんだ…」 人の人生には何が起こるかわからない。理由はどうあれ、恋人同士の二人が結婚を反対されて幾度となく周りを説得し、長い道のりをやっと式を挙げるまで辿り着いたのに、二日前にぎっくり腰で歩けなくなるなんて…。しかも病院は休み。何処にも当ては無し…。 この状況に置かれた彼はどんな気持ちで見ず知らずの整体師の携帯電話に早朝に電話したのだろうか…。 ※写真はイメージです。本文と直接関係はありません。 |
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>>同時多発テロと整体 | |
その日は閉店直前に20代中ばの女性が突然やって来た。 「あのー、アメリカから来た人一人整体して欲しいんですけど、これは東洋医学になるの?」「そうですよ」と私。「それはどういうやり方?」 ん、顔は日本人に見えるのに日本語がちょっとおかしいかな…?と思いながらも、普段通りに「身体のコリをほぐし、バランスを整える事によって痛みをとったり、体調を良くしたりする方法で比較的穏やかな手技療法です」と説明する。 「あっそう。じゃあ今から呼ぶからその間私をやって、その後にアメリカ人にやってもらうのはOK?」 「あっ、はい、ど、どうぞ」普段あまり接したことがない話し方をするタイプで私は完全に主導権を握られてしまった。 話を聞くと彼女は東京の出身だが、アメリカのテレビ番組制作の仕事をしていて、この5年間は殆んど日本には戻らず、仕事も忙しいので日本での滞在は番組の取材で数日寄る程度だそうだ。 恵比寿に行きつけの整体院があり、帰国した時の楽しみにしていて必ず通っていた。今日、初めて一緒に仕事をした番組クルーと連れだって行ってみたら整体院はなんと美容院に変わっいて影も形も無かったとの事。一緒にきたクルー達もガッカリしてホテルに帰ってしまったそうだ。 クルーと別れた後、整体を諦めきれずにトボトボと広尾を歩いていて当院を見つけたようで、施術を始めると「もう肩も腰もクタクタ…」と言い残すと施術台の上で寝てしまった。 どうしたものかと思いながらも施術を始めると確かに腰も肩もコリが強く、何故か肩甲骨の内側に大きなコリがある。 触ると「痛い!」と言いながら目を覚まし「今の所凄く痛いけど何?」と聞いてきた。 「これは呼吸器系に疲れがある時などに反応する事があります肺喩(○○○)というツボです」と伝えると彼女はサッと顔色を変えた。 「実はテロの取材でニューヨークに行き、大量の粉塵を吸ってしまいそれ以来、咳が時々出て胸も苦しくなります」「病院には行ったんですか?」「行ってません」 「いつまで日本に滞在できるのですか?」 「明日、ロスに帰ります ○※×△◆*●…」とても動揺したようで最後は英語と日本語が混じって何を言ったのか理解出来なかった。 「○※×△それ結構まずいの?△◆*●・・」英語と日本語が混ざって質問してくる。 以前から気になっていた体調不良を突然言われて相当驚いた様子。 「うーん。では、今はこのツボと呼吸器系に関係するツボはほぐします。呼吸器系に関係するツボは殆んど反応が出ていますので、症状がひどくなったら必ず病院へ行ってください」「OK!」と話の深刻さとは反対の明るい返事。 整体で出来る事はこのツボをほぐしこの周りの骨格を調整するしかない。 再び施術に入っていると、しばらくして来客を知らせるチャイムが鳴った。出て見ると、とても大柄で頭は坊主、腕も太く有名な格闘家K1のマイクベルナルド!によく似た白人男性が愛想よく笑いながら立っていた。 施術中の彼女に知人の方が来た事を告げると、いきなり英語で喋りまくり始めた。 しかしベルナルド似の男性も話している内に笑顔が消えていき、とても心配そうに自分の背中を気にし始めた。会話の内容は分からないが、どうやら彼も一緒に粉塵を吸ったようだ。 「彼も背中に痛みあるって」「そうですか、じゃあ次に施術しましょう」 三度施術を始め、ある程度終わった所で深呼吸をしてもらうと「とても呼吸が軽い。肩も軽い」と表情が和らいだ。次にべルナルド似の彼施術に入る。すると全く同じ所に同じようなコリがあり同じように痛みを訴える。「先程の内容を説明してあげて下さい」と私が言うと彼女は英語で説明し始めた。 格闘家のような体格の男性でもツボの痛みはつらいようだ。 そして彼もまたしばらくするとスーッといびきをかきはじめ気持ち良さそうに寝てしまう。 やはり相当の猛者だな、などと思いつつ施術を終えると「彼も呼吸楽になったって」と彼女が私に伝えた。楽になったせいか再び二人は笑顔で話始めた。 アメリカ人気質というのか、気持ちの切り替えが早いのか、すごく二人とも明るい。 「でも、病院には行ってくださいね」問題が完全に解決した訳ではないので、私はついつい釘を指す。 アメリカの同時多発テロの影響で直接的な被害でなくとも、体調を崩す人がとても多く特に粉塵は問題になっているという事をインターネットのニュースで知る2週間前の出来事だった。 |
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>>投げられないエース1 | |
6月の初旬のある日、その投手(エース)を施術するきっかけはいつもと同じ一本の電話からだった。 相手は「あのー、○○高校の野球部のコーチをしているMという者ですが、うちの選手を見ていただきたいのですが…」「大丈夫ですよ。いつですか?」 「明後日の夕方がいいんですが予約空いてますか?」「はい、大丈夫です。」と普段通りのやり取りをして電話を切った。 受話器を置いた後、「○○高校の野球部ってどこかで聞いたことがあるなぁ…」と思い考えてみると、私の実家にほど近い場所にある高校のことを思い出した。 最近、野球部を創設したばかりだというのに急に強くなり、この春も「新鋭校として注目のチーム」という地元新聞の記事はそんな内容だったように思う。 しかしそこ高校のある辺りからだと広尾までは速くても電車で1時間30分はかかる。 随分遠くからわざわざここまで来るなんて…どんな選手なんだろうか…と思っていた。 2日後、二人は夜7時を過ぎた頃やって来た。 その選手は、頭は坊主、顔は日に焼け真っ黒、身長は170cmそこそこ位だが、表情はとても暗く、目はうつろで質問すると時々鋭い目つきで問診中も説明中も落ち着きが無く、どことなくイライラした感じが伺える。見かけはスポーツマン、高校球児といった感じだが、中身はちょっと違うなと感じてしまった。 コーチに話を聞くと、「投手(エース)として4月の春の大会までは、調子も良く、そのお陰でチームにも良い成績も残してきたがこの5月位から調子を崩し、同時に腰痛、肩痛肘痛、手首痛に悩まされている」との事。 現役メジャーリーガーの肘の手術をした事で有名な病院に通っていて、診断は「右腕の疲労による炎症」で、「1ヶ月練習禁止」と言われ現在は「湿布をはる程度で特別な治療はしていない」とのこと。 コーチは続けた。「病院に行っても何もしないで湿布を貰うだけなのでもう殆んど行っていません。はっきり言って相当焦っています。監督には今月中にある程度調整が出来ない場合には彼をメンバーから外すと言われています。しかし現在のチーム事情は厳しくこの投手(エース)の状態いかんで戦力は相当差が出てしまいます」 と話してくれた。コーチも悩んでいるのだろう。表情に苦悩の色が伺える。 小、中、高校と10年以上野球をやってきた高校3年生の選手にとっては、本当に最後になるかも知れない夏。しかも、この投手(エース)は中学時代は全国大会を経験し、海外遠征もしてきたいわばエリートだそうだ。 しかし、当の本人は目はうつろで元気が全く感じられない。 以前にも何人か同じようなスポーツ選手に出会ったことがあるが、皆必死に復帰できる日を思い、なんとか自分の体調をプレーができる位まで持っていこうとギラギラした感じするものなのにこの投手(エース)にはそれが全く無い。 このコーチやチームの関係者でどうにか間に合わせたいと思い、わざわざ広尾までやってきた様子。かなり焦っているようだ。 一通り説明して、施術に入っても投手(エース)は全く無反応、無表情。 「ここ痛い?」「はぁ−」「ここは?」「ええまぁ」と全く施術のテンポがつかめずに一応施術を終了した。「痛かった所や重く感じていた所はどうかな?」と聞いても「あまり変わりません…」と覇気のない返事。「どうですか?」と心配そうにコーチが聞いてくる。 「あまり変わりませんね…」としかこの段階では答えようがない。 「一度では分からないので、また来週来てください」と言ってその日は帰ってもらった。 この投手(エース)の状況が一変したのはその後、何度か施術をした時のことだった…。 (つづく)
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>>炊飯器におまかせ。のチーズケーキ? | |
施術の合間に店の前の鉢植の様子を見ていると、自転車にのった男性が 「センセ〜」と声をかけてきました。 良く見ると、ご夫婦でよく施術に見える岩原さんのご主人さんです。 「どうしたんですか?」と聞くと 「はい、これ先日お世話になった御礼です。」と紙袋を渡されました。 紙袋の中身を見ると明らかにケーキが入っているのがわかる、台形の箱が入っていました。 「あ、いいんですか?」 「はい、奥さんの作ったチーズケーキですけどよろしかったらお召し上がりください。」 「ありがとうございます。」 「腰もすっかりよくなりました。」 「よかったですねー」 数日前に営業が終了した後に、電話があり急に腰から尾骨にかけてが痛くなり 痛くてつらいので、どうしても今から見て欲しいと岩原さんのご主人さんに 言われ施術した御礼にとわざわざ届けてくれたものでした。 家に帰り早速、食後にぺロリと食べてしまいました。 とても美味しく「岩原さんの奥さん料理上手だなー」などと呑気に思っておりました。 それから数日後、その奥さんが現在2歳のお子さんと二人で施術に来院しました。 お子さんは、もう何度となく一緒に来ているため、お母さんの施術が終わるまで 一人で院内を動き周り電車のミニカーで遊んでいます。 当方も、入れ替わりでお客さんが来院するため、施術中は他のお客さんが待つ事も無く、 次のお客さんが来るまではいつも自由に遊んでもらっています。 施術をはじめて少し経った頃。 「この間のケーキいかがでした?」と奥さん 「あ、ご馳走さまでした凄くおいしかったです。」 「チーズケーキってダメな人多いからどうかなーて心配だったんですよー」 「全然、平気です。料理上手いですねー。」 「そうですか、ありがとうございます。あれ実は炊飯器で作ってあるんですよ。」 「え、炊飯器でケーキが作れるの?」 「ハイ、できます。ケーキだけでなく、煮物とかカレーとか色々できるんですよー」 「へー、そうなんだ、凄いですねー。」 「凄く簡単で美味しくできるんですよー、実は、私その本書いてるんですよー。」 「え、そうなんですか、全然知らなかった。」 「子育てしながらの炊事が大変で、火を使って長く煮込んだりする事ができなくなってしまって、 どうにか火を使わず煮物ができないものか?と考えた挙句に炊飯器で料理を始めたんです。 いまでは、本を出版するまでになってしまいました。今度、テレビの取材もあり、朝の番組に でるかも知れないですよー。」 「じゃあすっかりお料理専門家の先生じゃないですか?」 「自分ではそんな感覚全然ないんですけど、周りの友人からは結構言われますねー」 そんな会話の中で、施術は進み、私の頭の中はあのチーズケーキで一杯になり 出版のきっかけを作ったお子さんは電車のミニカーでマイペースで遊んでいました。 そんなありがたいものとは知らずムシャムシャぺロリと食べてしまった。 こんな機会はめったに無いのに・・・。 もっと味わえばよかった残念・・・。 そんな訳で、本の宣伝です。 題名 :「炊飯器におまかせ。」 著者 :阿部剛子 出版社:文化出版局 定価 :1,575円 H.16.3/31のフジテレビ、「トクダネ」の「特捜部」というコーナーで紹介されました。 岩原さんのご家族は、著者さんはもちろん、ご主人さんもお子さんも総出演でした。 スタジオのみなさんも炊飯器で作った料理にビックリしていました。 *阿部剛子は岩原剛子さんの旧姓 *H16.11に続偏の「炊飯器でお菓子も、パンも、軽食も。」が発売。 |
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>>不思議な電気治療器 | |
お客さんのOさん(52才、女性、総合病院事務)は、 ずいぶん長く当院に通っていらっしゃるお客さんです。 Oさんはハイキングがご趣味で、ハイキング仲間の方と野山を歩きに行った 話を施術中によくしてくれます。 主訴は、肩こりと足が攣り(ツリ)ため、約二週間に一回、施術を受けにきて頂いています。 足の攣り(ツリ)は、勤務している病院でも何回か診察してもらいましたが、 あまり効果は無かったそうです。 そのOさんが、いつものようにいらっしゃいまして、不思議な体験をした事を話してくれました。 前回来院した、数日後の週末、ハイキング仲間と関東近県のある山をいつものように、 ハイキングに行った時の事です。 夕方、山からの下山途中に雲行きが怪しくなり、 帰途を急いでいました。 登山口の駐車場まで数キロになった時、突然、いつもの足の攣り(ツリ)が襲い、 山道で動けなくなってしまったそうです。 天気も小雨が降り始めたので、一緒に歩いていた仲間を待ったせるのは悪いので、 少し休むから、先に車を止めてある駐車場に帰るように言いました。 勝手知ったる、いつもの山道だったので、仲間の方たちは、心配しながらも先に下る事にしました。 Oさんは、以前、私が教えた、ふくらはぎが攣(ツッ)た時に行うストレッチを山道の脇に 座りこんで、ひとりで始めたそうです。 遠くで、雷の音も聞こえるので、「早く回復しなくては!」と、あせっても今回に限って なかなか回復せず、困っていた次の瞬間、 いきなり「ドッカーン」という音とともに、目の前が真っ白になり、耳が裂けたようになり、 意識が薄れて、気を失ってしまいました。 数分後、大粒の雨に身体をうたれ意識が戻った時に、わずか数メートル先の大きな木が焦げ て煙がでているに気付き、この木に雷が落ちて、そのショックで気を失った事がわかったそ うです。 いつの間にか、足の攣り(ツリ)は全く無くなっていたので、ずぶ濡れになりながらも、 急いで車に帰り仲間に今の事を話しました。 「もう少し雷が落ちる所がストレッチしている場所に近かったら、危なかったかもしれないね」 と話していました。 自宅に帰り。 疲れているので早目に横になると、いつのまにか朝になっていたそうです・・・。 普通の人から見たら当然のことですが、Oさんにとっては、涙がでる位嬉しい事だったのです。 Oさんは、毎晩、夜中に足の「ツリ」で目が覚めるのがあたりまえで、 そのまま、朝まで眠れない日が何年も続いていたのです。 それが、あの雷事件から、今日まで、 「足の攣り(ツリ)は全く無くなり肩のコリも楽になっている。」との事でした。 怖い思いもしたけれど、とっても嬉しいと明るく話してくれました。 確かに、今日、肩を触ったら以前のような石のようなコリは嘘のように無くなっていました。 Oさん曰く、「あの雷が電気治療器の役割になって、足の攣り(ツリ)や身体のコリが取れて楽になったんです。」 私は、この仕事を始めて長く経ちますが、はじめて聞いた不思議な話です。 | |
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