「緊急脱出」  

フェイザー軍地上基地
格納庫では、慌しく発進準備が行われていた

整備員1:1号機ブースター接続OKです!
整備員2:燃料タンクの圧力チェックを忘れるな!
整備員2:2号機、3号機も接続準備!・・急げよ!

コクピット内でも整備員が、スイッチを一つ一つ入れていき
モニターを見ながら、パネルを操作するとヘッドホンマイクを
突付きながら、話始める

整備員3:こちら、シャトル・・基地コンピューターとのリンク確認できました
整備員3:管制室、どうですか?

管制室では、やっと落ち着きが戻って来ていた

オペレーター:了解シャトル、こちらも確認した、オートチェック入るぞ
整備員3:分った、では俺も外装にまわる、後はよろしく!

オペレーターはヘッドホンマイクを持っていた手を離し、パネルを操作する

オペレーター:司令、シャトル発進まで、約38分です
司令官:うむ・・対空監視も怠るなよ・・こちらの動きを悟られてはまずい・・
オペレーター:は!
司令官:・・・よし、手の空いている者から順じ、搭乗させろ

フェイザー軍旗艦「ミカエル」
一人の少女が慌てた様子で通路を走っている、T路地で立ち止まり左右を確認すると
ちょっと悩んだ様子で右に曲がった。その通路の先で足早に通路を横切ったキールが
見えると、彼女はダッシュした

ユリ:か、艦長!

後ろから声を掛けられたキールは立ち止まると、後ろを振り向いた

キール:・・・君か・・

キールは一瞬彼女の顔を見たが、すぐに振り向くと立ち去ろうとする

ユリ:待ってください!・・さっきの通信・・本当なんですか!
キール:・・ああ・・残念だが決定は覆らん・・・

後ろ向きのままで、話すキール

ユリ:・・そんな・・・

ユリはガクっと膝を付くと座りこんでしまった、そんな彼女に
気が付いたキールは、ユリに向かって歩き出すと、肩に手を置いた

キール:・・そうか・・君は地上基地の補給隊だったな・・
キール:安心しろ、彼らは私が必ず回収してみせる・・・
キール:君はここで、彼らの無事を祈ってやってくれ・・

そう告げると肩から手を離す、呆然となっていたユリだがキールが
歩き出すのに気が付くと、立ち上がって叫んだ

ユリ:私も行きます!・・いえ、行かせてください!お願いです!

キールは再び立ち止まった

フェイザー軍地上基地
管制室ではオペレーターがレーダを見つめていた、モニターの端っこに光点が
一瞬見える

オペレーター:・・え?

光点が見えた場所を指で押すと、モニターが拡大された
すると10数個の光点が映し出された

オペレーター:し、司令!、S-238方面に機影多数・・・識別コード無し!、敵機です!
司令官:なに!・・メインモニターに出せ

司令官は立ち上がると慌てて叫んだ、メインモニターに映し出された光点は中心に向かって
まっすぐに進んでいた

オペレーター:・・早い・・・これは・・ナイトメアです!
司令官:く!・・対空戦闘準備!、全砲座を上げろ
司令官:格納庫と滑走路だけはなんとしても守るんだ!

すると、管制室に通信が入った

隊長:ライトフライヤー隊、発進準備OKだ・・・

唐突な通信に全員の動きが止まる、司令官はオペレーターの席に駆け寄ると
メインモニターを見ながらパネルを叩く、まもなくしてメインモニターに
滑走路が映った、さっきまで無人だったライトフライヤーには人が乗っていた

司令官:・・・貴様ら・・・機体は放棄せよと言ったはずだが?
隊長:そのおかげで、すぐ出られますよ

司令官は苦笑した

司令官:・・ははは・・そのようだな・・・
司令官:・・すまんな・・頼む!
隊長:了解!・・出るぞ!

メインモニターで発進していく、ライトフライヤー隊を確認しながら
司令官は、置いてあったインカムを持つ

司令官:シャトル聞こえるか、外部ハッチ側の格納庫は空けておけ
司令官:ライトフライヤーを、空中収容する

ライトフライヤーコクピット
飛び立つと同時に、遠ざかって行く滑走路

隊長:おまえら、今のは聞こえたな・・
部下:は!
隊長:よーし

隊長は喋りながら、パネルを操作しレーダーを確認した

隊長:よし、来たぞ・・全員で先制といくか
隊長:ホーミングモードセット・・発射!

ライトフライヤーの先端から、赤い光の粒が一斉にばら撒かれる
発射された方向に光が見えた、着弾と思われた瞬間、光の集団は
奇麗に散らばった

隊長:ち!・・回避パターンが変わってやがる
隊長:いいか、こっちもオートはあてにするなよ!

散らばった、光達は大きく弧を描きながら、段々と大きくなってくる

隊長:来るぞ!

大きな光から、小さな光が発射される、ライトフライヤー隊はそれぞれ
回避した、大きな光だった集団はすでにその姿をハッキリと現していた
大きな馬のようなマシンに乗った、人間・・いや人の形をした者達

隊長:・・ナイトメア!

まるで、空中がすべて地面といった感じで縦横無尽に駆け巡っていく
次の瞬間には、無数の光が交錯する・・ついに空中戦が始まった