「最終決戦」
宇宙に、光が連続で輝く・・大きな光跡を残して・・
今や戦場と化した星の上空は、最終決戦場と化していた
ノイド軍旗艦「ロイヤル」
シーンと静まり返っている艦内では、人間の形をした者達が、
無言で自分達の前面パネルを操作していた。
オペレーター:別働隊旗艦ナイト級ジークの反応消滅、撃沈されたと思われます
オペレーター:今の攻撃での損害率15%・・・現在、攻撃プロセスを再構築中
感情の無い声でオペレーターが告げる・・外見は似ているが、少し違った感じで
指令と思われる女がつぶやいた
シータ:ふん・・・我が方のパターンが読まれるとはな・・
シータ:さすがは有機体と言ったところか・・プロセス変更!各艦のコントロールを私に繋げろ
そう、告げると静かに目を閉じた
弱々しく攻撃を続けている衛星基地が、フェイザー軍の艦隊に飲み込まれていく
シータ:ふふふ、よし!
目をつぶったまま叫ぶと同時に、ノイド艦隊の砲座が一斉に動き出す
シータ:フェイザーども・・私がここにいるのだ・・このシータがな・・
光の筋が一斉に流れると、衛星付近の敵艦を一瞬で消滅させる
そして、集まった光は巨大な衛星の一点を撃ち抜いた・・・
次の瞬間、艦隊の中心で発生した光が、逆に艦隊を飲み込んでいった
シータ:あはははは!
静かな艦内にシータの笑い声だけが、響いていた
フェイザー軍旗艦「ミカエル」
大きく振動する艦内では、慌しい会話が響いている
戦略仕官キールは動揺を隠し切れないといった感じで、叫んでいた
戦略仕官(キール):な、なにがおこったー!
オペレーター:せ、接収中の、衛星の爆発です!・・・
オペレーター:・・そんな、エネルギー反応はすでに無かったのに・・
キール:味方を撃ったのか・・・被害状況は!
オペレーター:い、今確認します!・・・
オペレーターは、すばやく反応すると前面パネルを操作する
すると、総司令バージが前面スクリーンを眺めながらつぶやいた
総司令(バージ):ほーう・・いままでのパターンではないな・・
オペレーター:で、でます!・・・うそ・・だろ・・
キール:さっさと、報告しろ!
オペレーター:ご、50%!・・艦隊の半・・分が・・
キール:まさか!
戦略仕官キールは信じられないといった感じで、あわてて外を確認する
巨大な光は膨張を止めたが、いまだ力強く輝いていた
呆然となるキールに、オペレーターがさらに続ける
オペレーター:・・せ、戦力比は5対3!
キール:・・このままでは・・・
突然、無言で前面パネルを操作するバージ、蒼白な表情でバージを向くキール
キール:か、閣下なにを・・
バージ:んー?・・無論あれの準備だよ・・予定はしていなかったがな・・
キール:お、お待ちください!ここは一時、撤退すべきです
バージ:・・ちょうどいい機会だ・・このまま、おめおめと本国に帰れんしな
キール:それでは、地上軍はどうなるんです!
バージ:地上軍を回収してては、艦隊は全滅だ・・ちがうかね?
キール:そ・・
キールはバージを睨みつけるが、まったく意に介さず操作を続けるバージ
キールは、怒りの表情でオペレーターを向くと、叫んだ
キール:地上軍に緊急連絡!
オペレーター:は!・・回線開きます
フェイザー軍地上基地
司令官:遅い!発進を急がせろ!
滑走路では慌しく、発進準備が行われている・・
その司令室に、緊急通信が入る、そして、その内容に静まりかえった・・
キール:すまん・・・
キールのこの言葉を最後に、通信は切れた
隊長:待たせた!ライトフライヤー隊、出るぞ!
静まり返った、司令室に別の通信が入ってきた、
いち早くわれに帰った司令官が、告げる
司令官:・・総員シャトル準備!いそげよ!
オペレーター達にそう告げると、自分も受話器を取る
司令官:ライトフライヤー隊!、発進は中止だ!機体を放棄しシャトルに搭乗せよ!
司令官:繰り返す、機体を放棄して、シャトルに乗るんだー!
フェイザー軍旗艦「ミカエル」
キール:頼む・・一機でも多く・・
そう、つぶやくとキールは無言で、歩き出す
バージ:どこへ行く・・
キールは立ち止まった
バージ:あの星は危険なのだ・・忘れたのかね?
バージ:・・我々の技術は吸収され、今回もこの様だ・・
キールは振り返る
キール:それは・・
バージ:手を出した我々が悪いと?
キール:・・・
バージ:気にするな・・戦争に犠牲はつきものだ・・
バージ:それに、やつらは人間ではない・・違うかね?
キールは無言で、向き直ると司令室を後にした
バージ:ばかな・・いまさら・・
コンピューター:アクセスカンリョウ、エネルギージュウデンチュウ
コンピューターの音声が告げる・・そしてバージの前面パネルに
パーセンテージが表示された