「ま夏の訪問者」

不思議な空間に漂っている、船

船内部
小人のような姿の3人がそれぞれの持ち場らしき場所にいる

ユーウ:・・と言う状況にあり、我々の航海は遺憾ながら深刻と言えるであろう、以上航海日誌、第・・
カツキ:あーーー!うっさい、うっさい!
マート:ですが、カツキさまー(振り向く)
マート:夢嵐を利用して、一番乗りよー!(真似るよーに)って言ったの・・カツキ様ですよね?
カツキ:う・・・(怯む)お、おだまり!
マート:・・・だいたい、むちゃくちゃっすよー、夢嵐使って近道しようなんざ・・
ユーウ:夢嵐航法・・・自分は反対したはずでありますが・・
カツキ:う、うまくいくはずだったの!・・・
カツキ:ほら!もういいから、早くなんとか脱出する方法を見つけなさい!
マート:へーーい・・(向き直る)
ユーウ:はっ(敬礼)

小人のような姿の一人カツキは、ドカッと椅子のような物に腰を下ろすとブツブツ言っている

マート:・・お?・・おお?(立ち上がる)、おい!ユーウ
ユーウ:うん・・船長!(振り向く)
カツキ:ん?・・なによ・・まだ文句あんの!?
マート:(振り向く)ちゃ、ちゃいますよ、カツキ様・・ほら、聞いて聞いて

誰かは、分からないが微かな、会話が聞こえてくる

???:それ・・・・・っこちちゃ・・の・・
???:は・・反省・・てます・・
???:そ・・・・落・・・所は地・・・す、それ・・・

カツキ:こ、これってもしかして!
マート:そーっすよ、テレパシーっすよ、これでなんとかなるかもしれませんぜ!
ユーウ:・・・送信先はわかりませんが・・発信源は・・捉えました・・
マート:やったー!
カツキ:どこ?!、すぐ調べて!
ユーウ:場所はー・・・地球ってところであります、船長
カツキ:ふーん・・地球ねー・・
マート:・・あれー・・・でも記録が全然ないっすよ、ここ・・
カツキ:はー?、地名があるんなら、担当はいるんでしょ?誰?
マート:えーと・・・ピノ・・
カツキ:げ!!
マート:じゃないや・・・
カツキ:(ホッとする)脅かさないでよ・・
マート:ネガってやつらしいですねー
カツキ:ネガー?・・ネガネガネガ・・・あーー!、あいつか・・・
カツキ:・・じゃーあの子も一緒か・・こりゃ話が早そうね・・よし、さっさと脱出よ!
マート:おす!
ユーウ:はっ!

船は段々と輝きだすと、その空間からパッと消えてしまった

優二と真美の部屋
真美の足元のベットで寝ているネガとポジ

ネガ:・・ほえ?(起きる)なんか呼んだ?ポジ
ポジ:・・んーもうなによー(起きる)呼んでないわよ・・・寝ぼけないでよねー・・(また寝る)
ネガ:あっそ・・・ふあーあー(あくび)まーいいや寝よ寝よ・・

大伴家上空(夜間)

カツキ:ふー、やっと見つけた・・まったく、返事くらいしろっつーのよ

家の上空に静止していた少女が段々と降りてくると、ベランダから家に入っていく(透り抜ける)

優二と真美の部屋
少女は辺りを見回すと、下段のベット上に置いてあるカゴに気がつく

カツキ:あ、いたいた・・はー?まったく、なんて姿してるのよ・・・
カツキ:変身するときは、一番多い動物の幼生体ってのが常識でしょうに・・
カツキ:しょうがないわねー・・(目が光る)ほいっと!

ネガとポジは段々と大きくなって、入っていたカゴがはじけ飛ぶ

カツキ:よしOK、んーー・・寝てたんなら、起こすのも可愛そうか・・明日にしてあげるわ

ネガを乱暴に端に寄せて、真美の布団をはぎとると、カツキはそっとポジにかけてあげた

翌朝
真美の腹にドカッっと足が乗る

真美:う!・・うーーーん・・(苦しむ)
ネガ:・・お(起きる)・・朝か・・なんか体が重いなー・・(のそっと起き上がると優二のベットの下にぶつける)
ネガ:いったーー(手で押さえる)え?(手を見る)・・えーーーーーー!
ポジ:・・・もー、なんなのよー(起きる)・・静かに・・ネ、ネガー!そ、そのかっこ!
ネガ:わーー!、な、なに言ってんだ、お、おまえだって(指差す)
ポジ:ん?(自分を見る)・・・・・えーーーーー!
真美:・・んーーーー・・(起きて目をこする)
真美:(ネガとポジと目が合う)・・・う、う、う、わーー・・・(ネガが口を押さえる)
ネガ:わーー!俺、俺、ネガなんだってばー
優二:うっせーなー・・(目を擦りながら、顔だけ覗かせる)
優二:!!(ベットから落ちる)・・いてて・・(サッと構えて)だ、誰だ!おまえら
ポジ:・・お、おはよー・・優二くん(手を振る)
優二:・・・・・へ?

ベットに並んで下を向いて、腰掛ける人間Verネガとポジ

真美:・・はーー・・(ため息)
優二:・・で?(あきれたように)なんで、そーなってるわけ?
ネガ:お、俺だってしらんわい!
ポジ:・・あ、朝起きたらこーなってたわけでー・・
優二:ほーう(疑いの眼差し)
ポジ:だ、だって、船はもう無いのよー・・変身出来るわけないのに・・
ネガ:ぐ!・・ん?・・まてよ・・ってことはー・・

ネガが考え込んでいると、窓の外にピンクの光が現れるとスーっと透り抜けて入ってくる

真美:ん?

真美が気がつくと、一瞬光った光の玉は、ピンク色の猫に変わった

カツキ:ポジーーー(ポジの膝に飛び乗る)元気だった?・・もー心配だったのよー

突然のことに一同、シーンとなる

ポジ:あ、あなた、もしかして・・
ネガ:お、お、お、お前は!(指差す)
優二:ピ、ピンクの猫って・・
真美:かわいーー(にっこり)
カツキ:どう?似合うでしょ?あなた達のカッコ真似てみたんだけど、結構気に入ったわ
ネガ:おい!、さてはお前だな犯人は!さっさと・・(無視される)
カツキ:私のかわいいポジが、変なやつと同じ船に乗せられたって聞いててねー・・
ネガ:こ、このー・・
ポジ:・・あ、あのねカツキ・・
カツキ:しかも、ここって記録もなんもない辺境じゃない、大変でしょう?大丈夫?
ネガ:カツキ!どーでもいいから、さっさと元にもどせ!!
カツキ:うるさいね!変なカッコしてたから、わざわざ直してやったんだろ!
カツキ:気に入らないってんなら、自分で勝手に戻りな!
ネガ:そ、それが出来たらやっとるわい!
カツキ:はー?
ポジ:じ、実はね・・(カツキを口元に持っていく)

そっぽを向いて話を待つネガ、ポンポンと肩を叩く優二

カツキ:ぎゃーーははははははは(ネガを指差して大笑い、涙つき)
カツキ:なっさけねー船長だなおい、今じゃペットですか?・・ぷ・・あはははは
ネガ:(そっぽ向いたまま)く、くそーー・・・
ネガ:お、おまえこそ、何しに来たんだよ!ここは・・
ネガ:・・ははーん分かったぞ、お前の方こそ迷子かなんかじゃねーのか?!
カツキ:う・・・(怯む)そ、そんなわけなだろ!よ、寄り道よ、寄り道(そっぽ向く)
ネガ:あははは(指指す)っけ、図星でやんの(ポジを見て)ポジ、教える必要ないぞ
ネガ:カツキ!・・俺らを元戻してだな、ちゃんとお願いしたら俺が道教えてやってもいーぞ
カツキ:だ、誰がおまえなんかに!・・・ふん、だったら教えたくなるまでそのカッコでいるんだね!

カツキはポジの手から飛び降りると、パッっと一瞬光って、人間の女の子に変身して空中に浮く

カツキ:あ、そーゆうことなら、ポジは戻してあげる(目が光る)
カツキ:おい(ネガを向いて)素直に教えたくなったら、いつでも呼びな、じゃーねー
ポジ:(猫の姿に戻る)あ、待ってカツキ!

そのまま人間の姿でベランダに出ると、カツキは猛スピードで飛び去った

ネガ:く、くそー・・
優二:あーあー・・・(ベランダによって遠くを見る)
真美:かっこいーー
ネガ:ずる(こける)
優二:あいつ知り合い?
ポジ:うん・・・どーもカツキ、地球のことなんにもわかってないみたいねー・・
優二:・・やばいんじゃないの?それって・・
ポジ:そ、そーよ、早く教えて帰ってもらわないとー(ネガを見る)
ネガ:へん!(そっぽ向く)やなこった・・・あ!、そーだ、こーなったらー・・・

カツキの船
カツキが帰ってくる

カツキ:ただいまー
マート:カ、カツキさまー・・怒らしてどーするんすかーここは素直にっすねー・・
カツキ:うるさいね!なんであんなやつに・・
ユーウ:しかし、船長このまま道が分かりませんと・・
カツキ:わかってるわよ!・・・ふむ、よーーし、こーなったらーー・・

同時に

ネガ:力ずくでおっぱらってやる!
カツキ:力ずくで、聞き出せばいいのよ!

優二と真美の部屋
絵梨も呼び出され、作戦会議が開かれた

ネガ:いいか!作戦ははこーだ(窓に貼った紙を棒で指し示す)
絵梨:あははは、ほんとなんかネガじゃないみたい
ネガ:も−いいだろ!だまって聞く!(カンカン)
絵梨:あー・・間違いなくネガだわ・・
ポジ:はは・・
ネガ:・・ったくー・・
優二:で?作戦って?
真美:うんうん
ネガ:おほん!・・いいか、まず奴らの船を奪うだろ、でー俺を元にもどしてー、船でピノピノに連絡
ネガ:そんでもって、あいつらはフェザースターに強制送還ってわけ
優二:それ、作戦かー?
絵梨:ただの、希望じゃない・・
ネガ:ぐ!・・
真美:・・・(ポジを見る)
ポジ:・・まー簡単な相手じゃないわねー・・いい?船があるってことはその力も使えるってことなの
ポジ:私たちもこれぐらいなら出来るんだけど・・(ポジの目が光る)

机の鉛筆が浮かぶと、くるくる回りだす

優二:おおー
絵梨:へーー
真美:わーー
ポジ:船の力があるとね・・例えばー・・東京タワーでも回せちゃうし、月に移しちゃうことだって簡単なの・・
優二:おいおいおい!・・(ネガを見る)
絵梨:そ、そんなの相手にどーするのよ(ネガを見る)
ネガ:ま、まー心配すんなって、俺たちにだってコンパクトが三つもあるんだぜ?
絵梨:・・変身しただけで、どーやったら勝てるのよ・・
優二:・・ん?・・ってことはさーー
ネガ:ふふふ、そう!今から必殺魔法を教えてやる
優二:おおーーー!
絵梨:はは・・うれしそうね、優二
ネガ:よし、じゃコンパクト貸してみな(優二から受け取る)

ボタンを押しながらコンパクトの文字と格闘中のネガ

優二:おーい・・まだーー・・
絵梨:あ、あのさー(のぞきこみながら)もしかしてー・・
ネガ:(慌てて)こ、これでもないしなー・・
ポジ:はーー(ため息)ほらネガ、貸して!
ネガ:お、おう(しぶしぶポジの横に置く)
ポジ:でもいい?いっときますけど、魔法は内緒なんだから普段は絶対使っちゃダメよ?
絵梨:うん
真美:はーい
ポジ:特に優二くん?
優二:分かってますって(そっぽ向いて小声で)絶対使うもんね・・
ポジ:んーー?(優二を見る)
優二:な、なんでもないよ、ほら早く!
ポジ:はいはい(コンパクトに飛び乗る)
ポジ:えーと・・よしこれ・・みんなステッキを持って

3にんともステッキを持つ、優二は必要以上に構えている

ネガ:おばかが・・
優二:なにーー!
ポジ:はは・・・では、第一の呪文、ビット
3人:ビット!

左手に持ったステッキの先が淡く光ると、右の手のひらに光が移った

優二:おおー!
真美:わーー(自分の手をまじまじと見る)
ポジ:それは相手に直接さわる呪文よ
絵梨:こう?(優二に触る)
優二:(しびれながら)わ〜〜〜!お〜ででだ〜めすな〜〜!(パタっと倒れる)
真美:すっごーい
絵梨:あはは、ごめんごめん(小声で)いいわねこれ・・

カツキの船
カツキはクリスタルに出ている不思議な字を一生懸命見ている

カツキ:・・あのボケー・・よくもポジも前で恥かかしてくれたわね・・ギッタンギッタンにしてやる・・
マート:・・こ、こわー・・・こ、これはもはや・・
ユーウ:・・うん・・・話し合いって選択肢はなさそうだね・・
カツキ:(突然振り向く)マート!ユーウ!
二人:は、はい!
カツキ:・・なんか適当に強そうなの、つれて来てくれる?(笑顔)
マート:へ、へい!
ユーウ:っは!

二人は逃げるように駆け出すと同時に、黄色と緑色の光になると、猛スピードで飛んでいった

優二と真美の部屋
優二:えーー、なんだよたった4つーー
ポジ:だってこれ以上読めないんだもん(小声で)これ以上は危なくって教えらん無いの!・・
ネガ:まー、大丈夫だって、俺がなんとかすっからさ
優二:・・全然読めなかったやつがよく言うよ・・
ネガ:なにー!
優二:事実だろー・・
ネガ:うっせー!(ケンカ)
優二:あ、このー!(ケンカ)
ポジ:もー、やめなさいよ、仲間割れしてどうすんのー・・・まったくーー
絵梨:やらしときなさいって、ね、それよりポジなんか考えがあるんじゃない?
ポジ:え?う、うん、まー、一応ー・・
絵梨:なになに?
真美:・・ねー、ポジー、その船で帰っちゃったりしないよね?
絵梨:あ、そっかー・・
ポジ:うふ、大丈夫よ、だってネガだけじゃ心配だし・・それに私の作戦はね・・(ひそひそ相談)
絵梨:なるほどー・・よし!真美がんばろーね
真美:うん!
ポジ独り言:・・それに、あなた達も心配だしね・・(二人を見る)

絵梨:はい、そこまで!

優二とネガはお互いホッペを引っ張ったまま止まる

絵梨:まず、船を見つけないといけないんだから、そろそろ行くわよ
真美:ねーねー、絵梨ちゃん(ベランダから呼ぶ)
絵梨:ん?なに?(ベランダに出る)
真美:ほら、あれ(指差す)
絵梨:・・はは・・

カツキの船が、山の上の神社のすぐ上に浮いている(ノラネガ達のいた神社)

ネガ:・・あのバカ・・
優二:・・速攻、見つかったね・・
ポジ:・・・・・・・・じゃ、じゃー、しゅっぱーつ!
真美:じゃー、はい!(ネガにロープを渡す)
ネガ:はー?

ロープでベランダから恐々降りてくるネガ

ネガ:なんで俺がー!?(叫ぶ)
真美:しーー・・・
優二:だって、しょうがないだろー
絵梨:早く、早く!
ポジ:ぷぷ

クリーミィー店内
哲夫:はい、おまたせー(お客にクレープを手渡す)
なつめ:あっと、いけないテレビテレビっと(テレビをつける)
哲夫:なっちゃーん、お客さんまってんだから、注文注文
なつめ:あ、はいはい

テレビ
キャスター:突然ですが臨時ニュースをお伝えします!
キャスター:今日・・時頃、くりみヶ丘動物園から虎と熊が脱走するという事件が・・
キャスター:・・付近の住民の方は・・・

哲夫:おいおい、ぶっそーだなー
なつめ:てっちゃーん、この辺大丈夫かしら
哲夫:うーん、こっから動物園近いしねー・・

ドキっとなる客達

なつめ:ま、まさかもう外になんて・・
客達:キャーーー(逃げ出す)
哲夫:あ、おきゃくさーん・・・まいったな・・

カツキの船
2匹の獣が二本足で立って、こそこそ入ってくる

ユーウ:や、やっと戻れたね・・・
マート:あーー、つかれたーー・・でもユーウ、まさかさー・・
ユーウ:うん、あんなに・・

カツキが後ろから声を掛ける

カツキ:あら、戻ったのねー
二人:うわーー!(飛び上がる)
カツキ:ふむ・・まあまあ強そうね・・ご苦労さん・・
カツキ:もうちょっとしたら、やつんとこ行くから、休んでていいわよ(横を通って行く)
ユーウ:・・マート・・船長になんて報告したら・・
マート:すっごい騒ぎになっちゃいました、テヘ・・・とか言ってみる?
ユーウ:い、いやだよー
マート:だよな・・
二人:はーーー(ため息)

山の上の神社前
石段を登ってくる4人と1匹

優二:いくら、見えないからってさー・・
絵梨:だ、大胆よねー・・
真美:でも、どーやって入るの?(ポジを抱いている)
ポジ:うーん・・

ダダっと先に石段を登るネガ

ネガ:こらー!カツキー!出てこーい
ポジ:・・はは・・

カツキの船
ネガが騒いでるのが、クリスタルに映っている

カツキ:あはは、まさかあいつから来るとはね・・飛んで火にいるなんとやら・・
カツキ:よし、行くわよ二人とも!
マート:い、いや!カツキ様、ここはひとつあいつら船に入れちゃってー・・
ユーウ:そ、そうです船長!うまく誘い込んでポジとあのネガを引き離せばー・・
マート:て、手っ取り早いってもんですよー!
カツキ:別に外で・・・
マート:いーえ!中の方がいいっす!絶対!(はがいじめにする熊)
ユーウ:そ、そうです!船長!(すがりつく虎)
カツキ:わ、わかったわよ!・・離しなさいって、もう
二人:・・ホッ・・・

山の上の神社前
絵梨:(ネガの前に出る)あ、あのねー・・出てこられたら困るでしょ
ポジ:そーよ、魔法だって使うんだから
ネガ:う・・
真美:あーー(指差す)
優二:おい、なんか光だしたぞ・・うわ!

と言った瞬間、全員が宙に浮くと船に吸い込まれていった