「ユミちゃんに花束を!」

道路
テスト終了で校門から出てくる3人

絵梨:どーだった、真美?
真美:へへー、ばっちり!
絵梨:そう!私もー・・で?優二あんたは?(優二を見る)
優二:・・(小声で)聞くなよ・・
絵梨:え?なに?(聞き耳立てる)
優二:聞くなっつの!
真美:うふ
絵梨:あはは、分ってるって
絵梨と真美:ねー(顔を合わせて)
優二:む!
絵梨:でも、感謝しなさいよねー、クラス中巻き込んだんだから
優二:へーへー
真美:・・うーん、でもさー・・
絵梨:ん?
真美:・・おにーちゃんだけだったりして・・
絵梨:あはは、真美もきついわねー
優二:真美ー!
真美:ご、ごめーん・・

パルテノンプロ事務所
木所が部屋を歩いている、そこへ慎吾が入ってくる

慎吾:いやー、諸君!気持ちのいい朝だねー、ははは
木所:あー!なにやってたんですかー、いままでー
慎吾:やかまし!・・いろいろ考え事をしててな・・ふ・・
木所:どーせ、興奮して寝られなかったんでしょ・・
慎吾:ほっとけ!・・・で、木所、今日午後4時、間違いないな
木所:さーしりません・・(席に着こうとする)
慎吾:おまえなー!(走りよって胸倉をつかむ)
木所:だ、だって、約束したの社長ーじゃないですかー
慎吾:は!(手を離す)・・き、木所、すぐ彼女に確認を・・
木所:どーやって?
慎吾:・・は!・・し、しまった!・・
木所:何年、社長やってるんだか・・
慎吾:お、おまえなー!(泣きながら机を叩く)
木所:おほほほ

道路
優二:ま、とりあえずテストも終ったし、やっと夏休みだ
絵梨:えーと、明日は大掃除してー・・・で、結果はその後ね
真美:うん、通信簿と一緒にね
優二:ちぇ、分ってるよ・・もう、いいだろ!
絵梨:あはは
真美:うふ

パルテノンプロ事務所
出かける用意をして、席を立つ木所

木所:じゃー社長ー、4時には抜けてきますので、これでー
慎吾:おい、どこ行くんだ木所?
木所:んー?いやだなー僕はユミちゃんのマネージャーですよー
木所:コンサートにきまってるじゃないですかー
慎吾:タコー、いつから専属になった
木所:だーって、僕が行かなくて、どーするんですかー
木所:部長としてー、部下に示しがつかないでしょー(胸を張る)
慎吾:おまえなー・・・もういい・・さっさといっちまえ!
木所:はーい

木所は事務所を出て行った

慎吾:ったくー・・ユミにも困ったもんだ
慎吾:・・木所も木所だ!部長にした意味をまったくわかっとらん!

クリーミィー店外
真美:じゃ、ポジとネガ連れてくるね

真美は店に入っていく

絵梨:・・は?(優二を見る)
優二:あ、そうそうあいつら昨日さー・・

クリーミィー店内
真美:こんにちわー(入ってくる)
哲夫:お、いらっしゃい
なつめ:いらっしゃい
真美:んーと、ポジとネガは?
なつめ:ほら、そこよ(窓枠の上のカゴを指差す)
哲夫:後の2人は外かい?
真美:うん
なつめ:あらあら、おとなしいと思ったらお昼寝中ー・・(カゴを取る)
哲夫:じゃー今、持ってってあげるから外で待ってな
真美:うん、じゃ、待ってるね(カゴを受け取る)
哲夫:ああ

真美が店から出て行く

クリーミィー店外
カゴをテーブルに置き、食べながら覗き込んでいる3人

ネガ:・・こら、ポジそれは俺のだろーが・・(寝言)
ポジ:・・いっぱいあるんだからいいじゃない・・(寝言)
3人:ぷぷ

クレープをちょっと切って、ネガの口元に持っていく優二

ネガ:ん?ん?(匂いを嗅ぐ)あーん(口を開ける)

さっと、取り上げて自分で食う優二

ネガ:こ、このーポジ!(起きる)・・お・・
ポジ:・・けちくさいわねー(起きる)・・ん?・・

目の前に絵梨の顔

ネガ:げ!
ポジ:うわ!
絵梨:あんたたちーー!
ネガ:あ・・え、えーとですね・・(あわてて)
ポジ:・・あ、あのね・・絵梨ちゃん・・(あわてて)
優二:おほん、裁判長!この2人は、練習はもういやだと言ってました
絵梨:ほほう、なるほどー・・
ネガ:こ、このー、優二!
ポジ:え、絵梨ちゃん、聞いて、これにはね・・・
絵梨:静粛に!
ポジとネガ:はい・・
絵梨:弁護人(真美を見る)なにかありますか?
真美:え!・・えーと・・私も約束を破っちゃいました・・
絵梨:ふむふむ
ネガ:そ、そうだそうだ!おあいこだろ!?
ポジ:はは・・・
優二:しかし裁判長、この2人の理由は、どう思います?
絵梨:ふーむ、たしかに・・(目をつぶって腕を組む)
ネガ:だ、だってさー・・
ポジ:え、えーと・・
絵梨:静粛に・・では判決!この2人は・・・
優二:うんうん!
真美:絵梨ちゃん・・・(絵梨を見る)
絵梨:無罪!
優二:ずる(こける)
真美:あは、よかった
絵梨:やったね、ふたりとも!練習した甲斐があったでしょ?
ネガ:はは・・ま、まーね
ポジ:え、ええ・・
優二:ちぇ・・(クレープを口元に持っていく)

後ろから近づく駿

駿:このー、まーた、3人揃って悪巧みかー?(優二におぶさる)
優二:わ!(クレープがおでこに)
真美:駿!
絵梨:あ、駿兄ー、おかえりー
優二:駿兄ー!(振り向く)
駿:・・ぷ、ははは、わるいわるい
優二:ちぇ!(向き直る)
絵梨と真美:ぷ、あはは(優二を見て)
ネガ:笑っちゃうね(指を指す)ははは
優二:な、なんだよー!
ポジ:優二君、おでこ、おでこ・・
優二:・・ん?(おでこを触る)・・げ!
優二:駿兄ー!(振り向く)
駿:ま、まーまー、怒りなさんなって・・・
駿:今からコンサートつれてってやるからさー・・な?
優二:コンサート?
駿:ん?ユミちゃんのだよ、知ってんだろ?
優二:あ、あーうん、もちろん!
駿:えーと、(腕時計を見る)2時からだから、飯食ったら駅前な
絵梨:ふーん・・
駿:あ・・(小声で)優二、絵梨ちゃんも誘っとけよ(絵梨を見ながら)
絵梨:・・・(駿の視線に気づくと上そっぽ向く)
優二:なんで?
駿:・・・(こずく)
優二:い、いってー・・(頭を押える)
真美:おほん!・・・おほん!!
駿:ん?なんだ真美、風邪か?(笑顔で)
真美:駿!(席を立つ)
駿:おっと、分ってるよ、ほら(券を渡す)
真美:(パシッと奪い取る)ふん!(そっぽ向く)
駿:(小声で)おーこわ・・
ネガ:おいおい・・
ポジ:ま、真美ちゃん・・
真美:(顔を近づけて)(小声で)わ、わかってる・・大丈夫!
ネガ:ほー・・
ポジ:ならいいけど・・
駿:ん?さすがにネガとポジの分はないぞー真美
真美:え?(振り向く)う、うん・・
駿:ほら、優二は2枚な!(券を渡す)(小声で)分ったな?
優二:ちぇ・・(受け取る)
絵梨:しゅ、駿兄ー?・・
駿:あー、いいからいいから、うんうん
絵梨:・・・もー・・(下を向く)
駿:じゃー、解散!おくれんなよー

駿は店に入っていく

優二:あのさー、真美ー、ほんとに大丈夫かー?
ネガ:俺は知らんぞー
ポジ:あんたたち!
真美:な、なんとかなるもん・・・
絵梨:そうそう真美、私と優二で何とかするからさ、ねっ?(優二を見る)
優二:へ?ちょ、ちょっと待てよ、どうするってんだよ
絵梨:ん?簡単よー、まず、あんたが迷子になっちゃうの
絵梨:でー、みんなで手分けして探すってことにすれば、途中で抜けれるでしょ?
ポジ:なるほどー
優二:じゃ、なにか?・・また俺が悪者なわけ?
絵梨:あ、そーね、そーなるかなー・・
ネガ:あはは、俺、賛成ー!(手を上げる)
優二:このー(でこぴん)
ネガ:いたー!
真美:うふ、お兄ちゃん、ありがとう
優二:ちぇ!

くりみヶ丘駅前
駅で全員分の切符を買っている、駿そこへ3人が来る

真美:おまたせー(走ってくる)
駿:おー、来たな
絵梨:今日はどうも・・
優二:じゃ、いこー
駿:はいはい、ほら(切符を渡す)
真美:わーい(走って改札を通って行く)

ウエストポーチの中
ネガ:こ、こいつ絶対、俺らのこと忘れてる!(跳ね回る)
ポジ:し、心配性ねー・・・(跳ね回る)
ネガとポジ:いたー!(頭をぶつけ合う)

絵梨:あ、ありがとう駿兄ー
駿:(小声で)なーに、これからも優二をたのむな(切符を渡す)
絵梨:!・・(聞こえないふりで横を向く)ま、真美、待ちなさいよー(走っていく)
駿:あはは
優二:駿兄ー行こうよ
駿:おっと、わるいわるい、ほら(切符を渡す)
優二:さんきゅー
駿:・・優二
優二:ん?
駿:コンサート終ったらさ絵梨ちゃんとどっか遊んできていいぞ
駿:姉さんと義兄さんにはうまく言っといてやるしさ・・あー、あと真美もまかせとけ
優二:えー、なん・・
駿:ったく・・アイドルとはいえ他の女の子見に行くんだからさー、ちっとは・・
優二:へ?
駿:はー(ため息)いいから、なんか考えとけって、ほら行くぞ
優二:う、うん(付いて行く)

コンサート会場控室
木所がノックして入ってくる

ユミ:あ、木所さん!
木所:やーユミちゃん
ユミ:・・・どう?
木所:あー、準備OKー、後は僕にまかせといてよ
ユミ:ありがとう・・ごめんね、わがまま言っちゃって・・
木所:こんなの、お安い御用さー・・たまにはこんなお休みがあったってねー?
ユミ:うん!・・ほんとありがとう、木所さん
木所:なーに、部長の僕にまっかせなさーい(胸を叩く)
ユミ:あはは
木所:じゃー、コンサートがんばってねー
ユミ:うん!

木所が出て行く

ライブコンサート会場(亜細亜サンプラザ)
駿:おー、ここだここだ

真美、駿、絵梨、優二の順で席に座る、真美はウエストポーチをお腹の上に
持ってくると、チャックを開けた

真美:(小声で)もう、いいよ、大丈夫
ネガ:全然、大丈夫くない!(顔を出す)
ポジ:あいたたた・・・ま、真美ちゃん・・(顔を出す)
真美:ん?どうしたの?
ポジ:も、もうちょっと、ゆっくり・・(ガクっとなる)
真美:あ、いっけね・・・
ネガ:ったくもー・・・
駿:ん?(真美を見る)・・あー!おまえ・・
真美:えへへ・・は、始まるよほら(上を指差す)

会場内の照明が段段と消えて暗くなる

駿:・・しょうがねえなー・・大人しくさせとくんだぞ
真美:はーい・・
ネガ:へん!ゆわれなくたって、じっくり聞いてやろーじゃないの
真美:しー・・

開演時間と共に舞台の後ろが、眩しい位に光り輝く、逆光の中で一人分の人影が現れる
次の瞬間、スポットと舞台照明だけが残り、ユミだと分った

会場:わーーー!ユーミちゃーん!
駿:ユーミちゃーん!(席を立つ)

曲が流れ出す

絵梨:(ちょっと驚いて)・・ぷ・・
真美:(駿を見る)ふーんだ・・(ブスっとなって正面を見る)
絵梨:(ブスっとなってる真美を見て)ぷ・・くく(笑いを堪える)
絵梨:・・しっかし、駿兄ーも筋金入りだね(駿を見ながら優二を肘でつつく)
優二:・・・

ユミ:歌「いつまでも一緒にいたい人には」
ユミ:歌「言葉よりも先に口づけ交わす」

絵梨:ちょっと見てよ、優二(優二を向く)

目をキラキラさせて、正面を見つめてる優二

絵梨:・・・(ブスっとなって正面を向く)

ユミ:歌「すてきな幸せの贈り物」
ユミ:歌「私の受け取った魔法なの」

駿と優二:いいぞー、ユーミちゃーん!(立ち上がって)

ユミ:歌「あなただけを見つめることもできる」
ユミ:歌「赤い糸の運命信じて」

ネガ:あはは、こりゃ勝ち目ねーなーポジ
ポジ:そーゆうことゆわないの!
ネガ:だってさー(笑いながら)
真美:ん!(ネガを目隠しする)
ネガ:あ、こら!み、みせろ!
ポジ:ばーか

舞台袖
木所が立って、鼻歌まじりでユミを見ている

木所:ふん、ふーん、ららら・・いやーさすがユミちゃんだー、上出来、上出来
若い女性社員:(小声で)じゃ部長、私、客席の方に行きますね、私の席は9−2・・

会場:わーーーー!

若い女性社員:ち・・ですから
木所:OK−、よろしくねー・・ららら

若い女性社員が歩き去る

ライブコンサート会場
観客総立ちの中、真美と絵梨だけがブスっと肘をついて見てる

優二:いやー、すっげーなー、びっくりだよ!、なー絵梨(ちょっと絵梨を向いてすぐ正面を向く)
絵梨:ええ・・・そうね!(怖い目で優二を見る)
駿:どーだい、真美、あこがれちゃうだろー?(真美を見る)
真美:んーー!(駿を見て)ふん!(そっぽ向く)
駿:あ・・はは
ネガ:ぷ・・あはははは
ポジ:笑いすぎよ!(押し込める)

舞台袖
木所が、数人のスタッフと話している

木所:さーて、そろそろだなー
木所:じゃー君ー、打ち合わせどうりに、たのむよー?
スタッフ:はい(行こうとして立ち止まる)あ、部長NOは?
木所:ん?・・あー、えーーと、9−21、9−21でお願いねー
スタッフ:はい(立ち去る)

ライブコンサート会場
絵梨:優二、優二(肘で突く)
優二:な、なんだよー(絵梨を向く)
絵梨:そろそろよ、じゃ、いってらっしゃい!
優二:えーーー、いまーーー
絵梨:んーーー!(腕組みする)
優二:ちぇ・・・わかったよ
絵梨:(小声で)駿兄ーに見つからないようにね
優二:へーへー(そーっとしゃがんで、客席を去る)
絵梨:(小声で)・・たっくー・・さーてと・・
絵梨:駿兄ー・・駿兄ー・・(腕を引っ張る)
駿:ん?な、なに絵梨ちゃん
絵梨:大変なの・・今気づいたんだけど優二がいないの・・
駿:なにー!(立ち上がる)

絵梨は真美にウインクする、OKサインを返す真美

駿:ったくーー・・・あ!(小声で)そーゆうことね・・まだ途中なのに・・
絵梨:駿兄ー、早く、探しにいかなきゃ
駿:あ、ああ、そうだな(絵梨にウインク)
絵梨:へ?
駿:よし!たのんだぞ絵梨ちゃん!俺と真美はもう少し待って見るよ!トイレかもしれないし
絵梨:え?え?え?
真美:・・え、えーー!
ポジ:あ、あれー・・
ネガ:あーらら・・
駿:ほらほら、たのんだよ(背中を押す)
絵梨:う、うん・・・(しぶしぶ立ち去る)
真美:わ、私も探す!(立ち上がる)
駿:真美はだめ
真美:ど、どーしてー!
駿:どーしても(座らせる)
真美:えーー・・

客席通路
絵梨:と、とりあえず、優二を探してなんとかしなきゃ

舞台
ユミ:みんなー!今日はありがとーー
会場:わーーーー!
ユミ:あたしねー、日曜日お休みなんだーー
会場:わーーー!
ユミ:そこでーー、今日ここにいる誰かにーつきあってもらおっかなーーってね
会場:おおおおーーーーー!
ユミ:ありがとうーー、じゃ、ご注目!

スクリーンが点く

会場通路
絵梨:・・ん?げ!あのバカー・・(走る)

会場脇
絵梨が走ってくる

レイ:よー、絵梨
絵梨:(側まで来て)(小声で)な、なんで変身してんのよ!
レイ:へへー、これなら、みつかんねーだろ?
絵梨:(小声で)バ、バカ!ここどこだと思ってんのよ・・(キョロキョロする)
レイ:へ?
絵梨:あ、あんたねー・・もしレイだってファンにバレたら・・
レイ:は?
絵梨:いいから!こっち来なさい!(連れて行く)

舞台
ユミ:じゃーーいくよーー、スタート!
会場:わーーーーー!

スクリーンの数字が回り出す

ユミ:この数字はーーみんなの、席番号なのーー
会場:おおおーーーー!
ユミ:まず最初ーーー、いくよーーーせーーのーー
会場:ストーーープ!

ライブコンサート会場
駿:お、み、見ろ真美9だぞ!9!
真美:う、うん・・・(そわそわする)
ネガ:あーあ、結局俺がなんとかしなきゃなんねーんだもんなーー
ポジ:え!ど、どーするの?ネガ
ネガ:へん!ここで一暴れするのさ
駿:お、おおー2も来たー!(立ち上がる)
真美:ネ、ネガー・・それ、まず・・
ポジ:・・そうね、それしかないわね
真美;えーー!
ネガ:いいか真美、騒ぎが始まったら、すぐ行くんだぞ
真美:う、うん・・って・・ちょ、ちょっと待ってネガ
ネガ:なに、いいってことよ・・いいかポジ!
ポジ:ええ!
ネガ:せーの!(かまえる)
駿:お、俺だーーー!(叫ぶ)
ネガとポジ:うわーー(こける)

舞台袖
木所:ガーーン!・・・ど、どぼじで・・・(携帯が鳴る)
木所:は、はい・・・
若い女性社員:ぶ、部長ー!私8って言ったでしょー!
木所:えーーー!そ、そんなー・・・(携帯を落とす)
若い女性社員:(携帯から)部長、部長!
スタッフ:ど、どーします・・?
木所:どーするって・・しょうがないじゃない・・
スタッフ:はーー・・

通路
ざわめく会場、通路でスタッフから、花束を手渡される、駿
駿にスポットが当てられ、舞台に上がって行く

ネガ:おい真美、チャンスだぞ
ポジ:うん、早く行きましょ
真美:・・やだ
ネガ:や、やだって・・あのねー!
ポジ:だ、だって真美ちゃん、約・・・

2人をポーチに押し込むと、チャックを閉める

ポーチの中
ネガ:もう、知らんからな!
ポジ:真美ちゃん・・・

舞台
駿が花束を、ユミに渡す

駿:も、も、森沢 駿です!・・ど、どうぞ!
ユミ:あ、ありがとう(小声で)・・えーと
駿:いやー、そんなー、ま、まいったなー
ユミ:みんなも、ありがとーーーまたねーー
会場:わーーーー!

客席
観客が帰る中、席にじっと座ってる真美、そこへ駿が来る

駿:おーー真美、ちょっと外で待っててな、楽屋に来いって言われちゃってさー
真美:・・うれしそうだね・・
駿:え?・あ、はは・・・あ!そうだ真美、帰りにパフェでも食ってくか?な?
真美:・・・ふん!・・外でまってますよーだ(あかんべして去る)
駿:わ、わるいねー・・・(手を振る)

会場通路
絵梨:ん?終ったみたいね
レイ:あーあー・・
絵梨:あーあーじゃないの!と、とりあえずここに入るか
レイ:ちぇ・・

ドアの開いていた部屋に入るとドアを閉めた

舞台
木所が走りよってくる

木所:ユ、ユミちゃん!・・・(ガクっとなって)ごめんねー、こ、こんなことになる・・
ユミ:(後ろ向きで)うふ・・
ユミ:(振り返って腰に手を当てる)・・ほんと凄い人選んでくれるなー・・
木所:し、心配しなくていいんだよー・・ぼ、ぼくがなんとかするから!(行こうとする)
ユミ:あははは、いいんだってば、行きましょ(歩き出す)
木所:んー?

パルテノンプロ会議室
いらいらしながら窓の外を眺める慎吾

めぐみ:ちょっとは落ち着きなさいよ
みどり:そーですよー、来るっていったんですよねーー?
慎吾:・・いわれんでも、わかってる・・
めぐみ:でも、楽しみねー、早く会ってみたいわー・・ねー慎吾
みどり:たーのしみだなー・・来てくれたらですけどねーー?・・
慎吾:おまえらーー!(向き直る)

ユミ控室
変身して元にもどる優二

絵梨:ったく、世話のやける・・
優二:なんだよそれー
絵梨:ふん!(そっぽ向く)・・・

ドアの前に人声

木所:なんだー、そーゆうことー・・
ユミ:・・ほんと、木所さんてすごいなー・・
木所:そ、そんなー・・

絵梨:げ!ま、まずい!優二!こっち(手を引く)
優二:お、おい

部屋に入ってくるユミと木所、試着室に隠れる絵梨と優二

会場通路
駿が部屋を探しながら歩いている、その後をつける真美

駿:お、ここだー・・(ノックする)
ユミ:どうぞー

緊張して部屋に入っていく駿、そのドアの前まで来る真美

ポーチの中
ネガ:あーあー、俺はもーしらんからなー(寝そべる)
ポジ:むっせきにんねーー
ネガ:おー、ならガツンといったろーじゃないの(すっくと立つ)
ポジ:そ、そーゆう意味じゃないの!・・もう・・
ネガ:はー?

ユミ控室
ユミ:さー、座って座って
駿:ど、ど、どうも(カチカチで座る)
ユミ:あはは、ふーん・・(頬づえついて駿を見つめる)
駿:きょ、きょ、今日のライブ、か、感動しました!(ビシっとなる)
ユミ:くす(笑う)・・ありがとう・・駿ちゃん・・
駿:い、いえーー!とんでも・・(頭に手をあてて固まる)
駿:・・駿ちゃん?(キョトンとなる)
ユミ:あはは、忘れちゃった?・・・4歳ぐらいの時ほとんど毎日遊んでたのになー・・
駿:・・・え?えーーー!(立ちあがる)じゃ、じゃー・・もももももしかして・・
駿:・・ユーちゃん!?
ユミ:あったりーーー

試着室
絵梨:ゆ、優二・・知ってた?
優二:・・いや、全然・・・
絵梨:ふー・・これは、これは・・

ユミ控室ドア前
真美:・・・・・(座り込む)

ポーチの中
ネガ:あははは、こりゃーますます・・・
ポジ:ん!(キック)

パルテノンプロ会議室
俊夫が入ってくる

俊夫:どーも、しつれーしまーす
慎吾:ん?(振り返る)と、俊夫君、は、早すぎない?
俊夫:え!・・そ、そーですか?・・
めぐみ:くす(笑う)さすが、俊夫君ね・・
俊夫:いや・・はは、まいったな・・(みどりの隣に座る)
みどり:ほーーんと、さっすが俊夫ちゃんなんだもんね
俊夫:う、うるへー!優から聞いたの!、文句あっか
みどり:ふーーん(横目で見る)
俊夫:み、みどりー!
慎吾:・・・はーーー(ため息)マミちゃん・・

ユミ控室ドア前
楽しそうな笑い声が聞こえる、とぼとぼと歩き出す真美
何とかチャックを開けて顔を出すポジ

ポジ:・・真美ちゃん・・元気だして
真美:・・うん・・・

ネガも顔を出す

ネガ:あ、あのさー・・
ポジ:・・真美ちゃん!(ネガを押しのけて)
真美:・・・ん?・・
ポジ:真美ちゃん、がんばろ?・・あなたにもなれるのよ、ユミちゃんみたいに
真美:・・うん・・・でもさー・・・(目に涙)
ポジ:そうね・・分ってるわ・・でも真美ちゃん、聞いて!
ポジ:・・もしも・・駿君が変身した真美ちゃんを好きになったら・・
真美:・・なったら?・・
ポジ:目の前で、変身解いちゃいなさい!
ネガ:な、なにーー!お、おまえそんなこと、ピノ・・・
ポジ:ん!(押し込む)
ポジ:私が許すわ
真美:・・・(涙を拭う)
ポジ:元気でた?
真美:うん!
ネガ:・・はーぁ・・ポジのやつ・・

真美は走って行った

ユミ控室
ユミ:・・・ってことだったのよ、ほんと、うちのパパってしつこいのよねー・・
駿:へーー、姉さんをねーー
木所:なるほど、なるほど・・・あーーー!ま、まずい(時計を見て)
木所:そろそろ、いかないとー!
ユミ:あそっか、木所さん、早く行って
木所:うん、おじゃま虫は、退散しないとねー?
ユミ:な、なに言ってるの木所さん!
駿:と、と、とんでもないです!
木所:いいのいいの、じゃーねー

木所が出て行く

ユミ:もーー
駿:あはは・・

試着室
優二:ぷぷぷ、駿兄ー困ってやんの・・
絵梨:バ、バカ、しー・・

ユミ控室
ユミ:・・だ、誰かいるの?(振り向く)
駿:俺が見てくる!(立ち上がる)

試着室
絵梨:あちゃー・・
優二:やっべー・・

カーテンを引く駿

駿:・・ん?
優二:あはは、どもー・・
絵梨:ど、どもー・・
駿:お、おまえらー!
ユミ:だ、誰?
駿:ったくーほれ!(2人の首根っこをつかんで前に出す)
優二:こ、こんちわー
絵梨:こ、こんにちわー
ユミ:あら、こんにちは・・・駿ちゃん、乱暴にしたら可哀想よ・・
駿:いいんですよ、こいつら連れて来たの俺だし・・

パルテノンプロ会議室
俊夫:早く来ないかなー・・マミちゃん
みどり:あははーー・・・きませんねーー・・
めぐみ:木所さんまで来ないなんて・・まちくたびれちゃったわ・・
慎吾:あ、あんなやつ・・ほっとけ・・
めぐみ:ま!・・じゃ、悪いけど私も帰らせてもらうわ
慎吾:ああ!行っちまえばいいだろ、行っちまえば!(立ち上がる)
めぐみ:じゃーね、俊夫君・・(慎吾を見て)ほんとに来たら!
めぐみ:(俊夫を見て)あとで教えてね
慎吾:へん!(そっぽ向く)
俊夫:はは・・
みどり:おろおろ・・・

めぐみがドアノブをつかむと同時に開く

マミ:ご、ごめんなさーい!(めぐみの前に立つ)
めぐみ:うわー!・・(しりもち)あ、あな、あな・・(指差す)
俊夫:うっそー・・
みどり:うわーー・・
マミ:ん?

化粧ケース内
ネガとポジ:ぷ、くくく

慎吾:どーだ!驚いたか、わははは

ユミ控室
優二:ちょ、ちょっと探検してました!ごめんなさい(あやまる)
絵梨:もーしません!(あやまる)
駿:ったくもー・・
ユミ:ふーん、あなたが優さんのねー・・(しゃがんでじっと見る)
優二:ん?
ユミ:どーしてだろ・・2人とも初めて会った気がしないのよねー・・
絵梨:え!・・う、うれしいなー・・ね、ねー優二(肘で突く)
優二:え・・う、うん!(あわててうなづく)
駿:で、こいつの・・・あーーー!ま、真美・・
ユミ:マミ?
駿:いや、こいつの妹なんだけど・・・あっちゃー・・まだ外かなー・・
ユミ:そ、外って・・駿ちゃん・・いいわ、あたしも探す
絵梨:あ、あーー!いいのいいの、私たちに任せて!行くわよ優二!
優二:えー・・
駿:いいよ、絵梨ちゃん悪いのは俺なんだし
絵梨:いいから、駿兄ーはごゆっくりー・・ほら優二!
優二:ちぇ・・

2人は部屋を出て行く

駿:・・あはは
ユミ:・・うーん(小声で)なんでだろ・・
駿:・・やっぱり、心配だから、俺も行くね
ユミ:え!・・うん、そうね、じゃー日曜日ね、駿ちゃん
駿:いや・・ははは・・
ユミ:今更、てれないでよ(背中を叩く)
駿:じゃ、じゃー

駿は部屋を出て行った

ユミ:・・レイの秘密探索はお預けか・・まー、駿ちゃんに会えたから、いっか・・・

パルテノンプロ会議室
慎吾:さーさーマミちゃん、こっちこっち(背中を押して部屋を出て行く)

すぐに戻ってくる慎吾

慎吾:(落ち着いた雰囲気で席に座る)いいかね、君たち・・・
めぐみ:なによ・・

亜細亜サンプラザ近辺
絵梨:ちゃんと、行ったようね
優二:まだわかんないぜ(携帯を取り出し絵梨に見せる)
絵梨:あそっか(携帯を取り出す)
絵梨:ポジ!
優二:ネガ!

ちょっとして画面が変わり、ネガとポジが画面に出てくる

ネガ:おー、どした?
ポジ:あ、絵梨ちゃん!
優二:どしたじゃないだろ、真美はどうなった?
絵梨:ちゃんと、行ってる?
ポジ:ええ、心配ないわ
ネガ:俺はポジの頭が心配だね
ポジ:うるっさい(画面から追い出す)
ポジ:とにかく、こっちは大丈夫
ポジ:帰るときはこっちから連絡するから、じゃーね(画面が消える)
優二と絵梨:ん?(顔を見合わせる)

パルテノンプロ会議室
めぐみ:ばっかばかしい、それ、本気で言ってるわけ!
慎吾:他に説明つかんだろうが!
俊夫:ぷ、くく・・(笑いを堪える)
みどり:はー?・・
慎吾:ん!(俊夫を見る)
俊夫:・・あ、いえ・・そうですね、彼女のことはそっとしておきましょう
慎吾:そうだ、今は彼女のデビューだけを考えるんだ!・・・じゃー行こうか
俊夫:ええ(立ち上がる)
みどり:はーい(立ち上がる)
めぐみ:ふん!(立ち上がる)

亜細亜サンプラザ近辺
絵梨は自分の携帯で駿兄ーに電話する

絵梨:あ、駿兄ー?・・
駿:(携帯)あ、絵梨ちゃん、真美見つかった?
絵梨:うん、真美は見つけたから心配いらないわ・・
駿:(携帯)そうーー・・よかったーー
絵梨:じゃ、お言葉に甘えて遊んできますんで、よろしく!・・ふん!(携帯を切る)

亜細亜サンプラザ外
駿:うひゃ!・・あはは、まずかったかな・・

亜細亜サンプラザ近辺
絵梨:優二!
優二:ん?
絵梨:なんでもっと早く言わないの、めちゃくちゃあせったんだからね!
優二:だって!、駿兄ーが勝手に・・・でも、なん・・・
絵梨:あーー!いい!考えない!・・・ほら、いくよ!
優二:どこに?
絵梨:連絡があるまで!
優二:へーへー

パルテノン応接室
慎吾:・・でねー、マミちゃん8月になったら盛大にデビューしよーねー
慎吾:それまでは、がんばって練習しよーねー
マミ:はーい
俊夫:はは・・

化粧ケース内
ネガ:はー?なんで?(ポジを見る)
ポジ:・・さー・・

めぐみ:ねえ、あなたちょっと立ってみて
マミ:はい(立ち上がる)
めぐみ:ふーん、なるほどねー・・(じろじろ見回す)
マミ:あ、あの・・
慎吾:(小声で)めぐみのやつーー
慎吾:めぐみ、ちょっとマミの横に立ってみてくれ
めぐみ:ん?(横に立つ)
慎吾:ふふ・・(横を向く)
めぐみ:なによ・・
慎吾:いやなに・・・時とは残酷だな・・・
めぐみ:どーゆう意味よ!(張り手)
慎吾:ぐあ!(ふっとばされる)

木所が入ってくる

木所:す、すみませーん!・・んー?・・のあ!(慎吾とぶつかる)
木所:いたたたた
マミ:あの、大丈夫ですか?(木所に手を出す)
木所:ど、どうも・・ん?(マミを見て)うわーーー!き、君・・
慎吾:だーー!黙れこのタコ!(口を塞ぐ)
木所:・・もがもが・・・
慎吾:・・たっくー・・
マミ:ん?
俊夫:ぷ・・
みどり:んー?
めぐみ:ふん!

化粧ケース内
ネガ:なにが、どーなってるの?
ポジ:はは・・ま、まー、よかったんじゃない
ネガ:さーね

七話 END